研究計画書の書き方

研究の進め方


 研究初心者にとって研究計画書を書くという作業が最初の難関かもしれません。漠然とこういうことが知りたいとか,この方法でやればいいんだよなとか,頭の中で思っていても実際なかなか文章にできないものです。そこで,ここでは研究計画書の書き方のイメージをつかんでいただくために,その項目や内容について簡潔に説明します。

研究計画書を書く目的

 研究をしようと思ったら,実際にデータを集める前に研究計画書を作成します。研究計画書は,大学院生であれば教授に,臨床で働いている方であれば上司に説明する時に必要になります。また,その研究の倫理審査を受けるさいに必ず倫理審査書類とともに添付しなければなりません。研究計画書を書いておくことで,研究を進める上でやらなければならないことが明確になるので,早めに作成することをおすすめします。

研究計画書の構成

 研究計画書はどうやって書けばいいのか,研究初心者は悩みますよね。所属する施設で規定の用紙があれば,その内容に沿って書けば良いのですが,規定がない場合も多くあります。実は研究計画書に決められたフォーマットは無いのですが,一般的に以下のような内容を盛り込む必要があります。
研究計画書の構成

研究のテーマ

  • テーマの紹介:何について研究するのか? 

研究の背景

(1) 研究の動機
  • そのテーマにどのような興味や関心があるのか?
  • その問題はなぜ・どのような点で重要なのか?
(2) これまでの研究の概要
  • 研究テーマに関する先行研究はどのようになっているのか?
  • 先行研究にはどのような問題点があるか?

研究の目的

  • 何を問題にして,何を明らかにしようとしているのか?
  • この研究を通じて何が明らかにできるのか?

研究の方法

  • どのような方法で研究するのか?
  • その研究方法がなぜ優れているのか?
  • その方法で問題が解決できるのか?
  • どのくらいの期間がかかるのか?

引用文献/参考文献

  • かならず引用/参考文献の一覧を提示します
 論文でいう,はじめに(序論)と方法までをしっかりと書くイメージです。以下に各項目の内容を具体的に説明していきます。

研究テーマの書き方

 研究計画書を書く段階である程度の研究テーマは決まっていると思います。研究の題名はそれだけで,その研究がどういうものかを具体的に表すものでなければなりません。下に具体的な例を挙げて説明します。

悪い書き方

・脳卒中患者に対する課題特異型トレーニングの有用性

ちょっと足りない書き方

・急性期脳卒中患者に対する課題特異型トレーニングがADL能力へ及ぼす影響

良い書き方

・急性期脳卒中患者に対する2週間の課題特異型トレーニングが退院時ADL能力へ及ぼす影響

 上から順に説明が具体的になっていることが分かると思います。基本的に題名をみた人が想像力を発揮しなければならないものはNGです。題名だけで,誰を対象に何を調べた研究なのかが分かるように心がけて下さい。

研究背景の書き方

 研究の背景では,自分の疑問や考えを先行研究で裏付けながら文章化していきます。極端に言ってしまえば,自分の描いた物語を理論で武装していく過程です。

研究の動機

 研究背景の最初には研究をはじめるに至った動機を書きます。つまり,臨床研究であれば,臨床疑問を持つにいたった背景を書きます。また,その疑問を解決することで,患者さんや医療従事者にとってどのような利益をもたらすのかを説明します。

これまでの研究の概要

 研究を進める上で大切なことは,今からやる研究がこれまでの一連の研究成果のなかのどこに位置するのかを明確にすることです。つまり,関連する先行研究を探して,読んで,自分の知りたいことのどこまでが明らかになっているのかを説明しなければなりません。

 先行研究についてまとめている内に,自分の知りたいことの中で,先行研究だけでは足りないことが分かってきます。また,先行研究では方法が誤っていたり,対象者が少なかったりと,その問題点もみえてくるはずです。そういった先行研究の穴をしっかりと説明して,次の研究目的につなげましょう。

研究目的の書き方

 研究の目的は,上で述べた研究の背景にそって記載します。つまり,研究の動機はあれそれこういうことで,先行研究を調べてみたが答えが見つからない(あるいは先行研究のやり方に問題がある)から,こういう目的で研究をしますと明言するのです。

 例えば,急性期脳卒中患者に対する2週間の課題特異型トレーニングが退院時のADL能力に影響するか知りたかったが,同じような先行研究は見つからなかったとします。本研究の目的は,急性期脳卒中患者に対する2週間の課題特異型トレーニングが退院時のADL能力に影響するかについて,ADL能力の指標としてFIMを用いて明らかにする,などと記載します。

 研究は何かを明らかにするためのものです。「〇〇を検討することを目的にした」などと研究すること自体を目的にするような表現は避けましょう。

研究方法の書き方

 研究方法の記載が研究計画書の肝といっても過言ではありません。臨床研究の研究方法では,以下の点を必ず記載するようにしてください。

  • 研究の期間
  • 研究のデザイン
  • 研究の対象
  • 研究の手順(介入研究であれば割付の方法や介入内容など)
  • データの収集方法
  • データの解析方法(統計的検定方法)

 これらの項目は一つでも抜けていると曖昧な計画になってしまいます。これでもかと丁寧に説明する気持ちで記載しましょう。

引用/参考文献の書き方

 背景で先行研究を引用した場合,必ず研究計画書の最後の項に引用文献を記載しましょう。引用文献は,著者名,論文名,誌名,巻数,号数あるいは通巻,出版年月日,該当ページの順で記載します。また,一般的には引用文献をアルファベッド順に並べて下さい(姓年式,ハーバード法)。その他にも雑誌文献と図書では書き方が異なったり,海外文献と国内文献で若干記載の仕方が違う場合もあります。引用文献の記載方法は,「引用文献の書き方」を参照して下さい。

まとめ

 研究計画書は研究テーマ,研究背景,研究目的および研究方法が網羅されている必要があります。今回,それぞれの項目について概要と簡単な書き方を説明しました。研究計画書を作成するイメージはつかめたでしょうか。

 あれこれ考えるよりも,まずは書き始めることをおすすめします。まとめていく過程で,知識として足りないことや,そもそも意味のある研究なのかが明瞭になっていくはずです。正しく研究計画を立ててしまえば,余程のイレギュラーがない限り研究計画にそって研究を進めて行けば良いわけですから今後の進行が楽になります。

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*この記事は,リハビリテーションに関する理解・知識を深めるためのものであり,特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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