95%信頼区間とは,研究データの統計的安定性の指標です.多人数の調査で得られた結果の方が,小人数の調査の結果よりも統計的に安定しています.この安定性の程度を定量的に示したものが信頼区間となります.
例えば,喫煙群と非喫煙群の肺がん罹患を比較したところ,相対危険度が4で,p値が > .03だったとします.p値は「比較した群の間に差がないという仮説が正しい確率」のことなので,この場合,喫煙者の肺がん罹患率が非喫煙者の罹患率が4倍高く,両群間に有意な差があると考えることができます.それでは,その差の程度はどのくらいなのでしょう.
そういった場合に95%信頼区間をみる必要があります.相対危険度が4で95%信頼区間が2.5〜5.5であれば,同じ人数で100回調査を行えば少なくとも95回は2.5〜5.5の範囲の相対危険度を観察できることを意味しています.つまり,実際に観察される相対危険度は,2.5〜5.5の幅を持っているということが分かります.対象者の数が多くなるほど95%信頼区間の範囲はせまくなり,データの統計的な安定性は高くなります.したがって,相対危険度やp値を見るだけではなく,その95%信頼区間 を見てその安定性を評価することが必要になるのです.