Spearmanの順位相関係数:Pearsonの相関係数と何が違うか

Spearmanの順位相関係数:Pearsonの相関係数と何が違うか

1904年、米国の心理学雑誌に「2つのものの間の関連の証明と測定」という論文が載りました。著者のチャールズ・スピアマンは、英国陸軍の将校を務めたあとに心理学へ転じ、ドイツのライプツィヒでヴントのもとで学んでいました。この論文でスピアマンは、測った値をそのまま使わず、値を順位に置き換えてから2つの変数の関係を調べる方法を勧めました⁠[1–3]。

順位にすれば、値の差がどれだけ大きいかという情報は失われます。スピアマン自身も、順位は測った値に比べて、理論の上では関係を示す手がかりがやや少ないと認めていました。値をそのまま使うPearson(ピアソン)の相関係数と比べて、Spearman(スピアマン)の順位相関係数は何が違うのでしょうか。

この記事の要約(押すと開閉します)
  • 定義:2つの変数をそれぞれ順位に置き換え、順位どうしでPearsonの相関係数を計算した値。2つの変数の単調な関係の強さを、−1から+1で表す
  • 生まれた経緯:1904年、Spearmanは、端の値の誤差が相関の結果を大きく動かすとして、知能の研究で積率相関を順位で計算した。順位で誤差が小さくなるという見方は、相関がなく正規分布に従うデータでは正しくないことが、のちに示された。1939年にKendallらが、関連がないときのρの分布を理論から求めた
  • 求め方:同じ値がなければ、2つの変数それぞれに順位をつけ、順位の差dから ρ=1−6Σd²/{n(n²−1)} で求める。nは人数。同じ値があれば平均の順位をつけ、順位どうしでPearsonの相関係数を計算する
  • 読み方:順位が完全にそろえば+1、完全に逆なら−1、一定の傾向がなければ0の近く。「強い」「弱い」の目安は文献によって違うので、ρの値と信頼区間を示す。Kendallの順位相関係数τとは尺度が違い、値をそのまま比べられない
  • 検定と信頼区間:人数が少ないと、大きなρでも有意にならないことがある。4人では、順位が完全に一致しても両側5%で有意にならない。人数が多いとごく弱い相関でも有意になるので、ρと95%信頼区間をあわせて示す
  • Pearsonの相関係数との違い:Pearsonの相関係数は直線の関係の強さを表す。ρは値でなく順位の相関なので、直線でなくても、一方が増えれば他方も増える、または減る単調な関係の強さを表し、外れ値や順序尺度のデータにも使える。一方で、値の差の大きさは使わない
  • 限界:相関がなく正規分布に従うデータでは、Pearsonの相関係数より効率がやや低い。相関が強くても、2つの測定が一致しているとは限らない。因果関係も示さない
  • SPSSでの手順:「分析」→「相関」→「2変量」で2つの変数を移し、「Spearman」にチェックを入れる
  • 結果の書き方:ρ、95%信頼区間、p値、人数をあわせて書き、散布図を添える

Spearmanの順位相関係数とは

Spearmanの順位相関係数は、2つの変数をそれぞれ順位に置き換え、順位どうしでPearsonの相関係数を計算した値です⁠[4]。記号はρ(ロー)で表し、−1から+1の値をとります。一方が大きいほど他方も大きい、または小さいという単調な関係の強さを表し、関係が直線である必要はありません⁠[4]。

外れ値のあるデータや、徒手筋力テストの段階のような順序尺度のデータにも使えます⁠[4]。値をそのまま使う相関係数については、Pearsonの積率相関係数の記事で説明しています。

Spearmanの順位相関係数が生まれるまで

Spearmanの順位相関係数には、平均からのずれの積で求める積率相関の計算と、測った値を順位に置き換える工夫の2つが含まれています⁠[2, 4]。求めたρが偶然でも生じうる値かを判断するための研究も、20世紀の前半に続きました⁠[5, 6]。図1に、主な出来事を年の順に示します。

Spearmanの順位相関係数が生まれるまでの年表。各行に、そのとき問題になったことと、それに答えた方法を示す。1896年、Pearsonは、相関が図の上で求められていたことに対して、平均からのずれの積から求める値が、正規分布のもとで最も確からしいことを導いた。1904年、Spearmanは、端の値の誤差が相関の結果を大きく動かすことに対して、積率相関の計算を順位に当てはめた。1921年、Studentは、Spearmanの相関係数の確率誤差を実験で求めた。1939年、Kendallらは、関連がないときのρの分布を理論から求めた。1896年、1904年、1939年は緑で、いまの手順のもとになった段階。1921年は灰色

図1 Spearmanの順位相関係数が生まれるまでの主な出来事。矢印の左はそのとき問題になったこと、右はそれに答えた方法。緑は、いまの手順のもとになった段階

英国の科学者Galton(ゴルトン)は、1890年代の半ばまで、相関と回帰を図の上で求めていました⁠[7]。1896年、英国の統計学者Karl Pearsonは、2つの変数が合わせて正規分布に従う場合を考えました。そして、平均からのずれの積から求める値が、相関係数の最も確からしい値になることを導いています⁠[8, 9]。この経緯は、Pearsonの積率相関係数の記事で説明しています。

英国の心理学者Spearmanは、1904年、同じ心理学の雑誌に2本の論文を発表しました⁠[3]。そのうち知能を扱った論文で、Spearmanは、能力どうしの対応を調べたそれまでの研究を見直しています。Spearmanによれば、対応の強さを正確な数で表し、確率誤差を計算していた研究は、1つしかありませんでした⁠[2]。

そこでSpearmanは、データ全体から、完全な対応なら1、対応がなければ0となる1つの数を求めることにしました。計算には、Bravais(ブラヴェ)、Galton、Pearsonが順に形を整えた積率相関の方法を使っています⁠[2]。知能の指標の1つには、試験にもとづく学校での順位が使われていました。Spearmanは、いくつもの能力の順位が、互いにどれだけ対応するかを調べようとしていました⁠[2]。

順位を使う利点の説明は、同じ年のもう1本の論文「2つのものの間の関連の証明と測定」にあります。Spearmanはそこで、正規分布では、両端の少数の値が平均の近くの値よりも互いに大きく離れている、と書いています。そのため、端の値に誤差が加わると、相関の結果が大きく動くとしています。しかも、端の値ほど誤差が起こりやすいと述べています⁠[1]。

同じ論文でSpearmanは、多くのデータから見積もると、順位で計算した確率誤差は、測った値で計算したときの3分の2未満になると書いています⁠[1]。知能の研究の主な相関は、感覚の弁別の閾値のように測った値があるものも含めて、順位で計算されました。知能の論文では、順位の効果を、観察した人数を2倍にすることに相当すると述べています⁠[2]。

Spearmanは、順位では関係を示す手がかりが理論の上でやや少なくなるという反論にも答えています。2つの方法でほぼ同じ相関の値が得られるので、この反論の力は消えると書いています⁠[1]。

米国の疫学の研究者Spiegelman(スピーゲルマン)は、2010年の解説で、順位のほうが誤差が小さいという主張を取り上げています。Spiegelmanによれば、相関がなく、2つの変数が正規分布に従う場合には、この主張は正しくないことが示されています⁠[10]。

ρを検定するには、関連がないときのρの分布が要ります。英国生まれの化学者Gosset(ゴセット)は、Student(スチューデント)の筆名で論文を書いていました⁠[11]。1921年には、この筆名で、Spearmanの相関係数の確率誤差を実験で求めました⁠[5]。1939年には、英国の統計学者Kendall(ケンドール)らが、すべての順位の並び方が同じ回数ずつ起こる場合のρの分布を、理論から求めています⁠[6, 12]。

次の節で説明する求め方のうち、順位に置き換えてから積率相関の式で計算する手順は、Spearmanが1904年に知能の研究で使った方法と同じです⁠[2]。この係数の名は、心理学の研究でふつうの相関係数の代わりにこれを使ったSpearmanにちなんでいます⁠[13]。

ρは外れ値の影響を比較的受けにくいとされます⁠[4]。この性質は、Spearmanが端の値の誤差の影響を小さくするために順位を使ったことと重なります⁠[1]。少人数で正確なp値を求めるとき、すべての並び方が同じ確率で起こるとして数える考え方は、Kendallらが1939年に分布を求めた条件と同じです⁠[6]。

Spearmanの順位相関係数の求め方

同じ値がなければ、ρは、順位の差dから ρ=1−6Σd²/{n(n²−1)} の式で求めます⁠[13]。dは1人ずつの2つの順位の差、nは人数です。図2は、Spearmanが1904年の「2つのものの間の関連の証明と測定」で相関の計算の説明に使った仮の例に、この式を当てはめたものです。5人について、文字を読める距離で表した視力と、音が聞こえる距離で表した聴力の関連を調べます。

5人の視力と聴力にそれぞれ小さい順に1位から5位までの順位をつけ、順位の差dを2乗して合計すると18になることを示した表と、同じ人の2つの順位を線で結んだ図。順位が同じなのはAだけで、ほかの4人の線は交差している

図2 Spearmanの順位相関係数の求め方(文献1をもとに作成)。視力は文字を読めた距離、聴力は音が聞こえた距離で、単位はフィート。どちらも小さい順に1〜5位とした。下の図は同じ人の2つの順位を結んだもので、線が交差するほど順位が食い違う

  1. 2つの変数それぞれに、小さい順に1位から順位をつけます。大きい順でもかまいませんが、2つの変数でそろえます。
  2. 1人ずつ2つの順位の差dを求め、2乗して合計します。図2の例では18です。
  3. 同じ値がなければ、ρ=1−6Σd²/{n(n²−1)} に入れます。図2の例ではρ=0.10です。

図2の例のρ=0.10は、視力と聴力の順位にほとんど関連がないことを示しています。測った値のまま求めたPearsonの相関係数も0.04でした(筆者の計算)。Spearman自身も、この例では、測った値の積率相関でも順位の差を使う方法でも、相関はないとしています⁠[1]。

上の式は、同じ値がなければ、順位どうしのPearsonの相関係数と同じ値になる計算の近道です⁠[13]。同じ値があるときは、該当する順位の平均をつけ、順位どうしでPearsonの相関係数を計算します。同じ値があることを、同順位といいます。たとえば4人の徒手筋力テスト(MMT)の段階が5、4、4、3なら、3が1位、2人の4は2位と3位の平均で2.5位、5が4位です。

同じ値があると、上の式で求めた値は、順位どうしのPearsonの相関係数とわずかにずれます。そのため統計ソフトは、平均の順位を使って、順位どうしのPearsonの相関係数を直接計算します。

Spearmanの順位相関係数の読み方

ρは、2つの順位が完全にそろえば+1、完全に逆になれば−1になり、順位の間に一定の傾向がなければ0の近くになります。ρが正で大きいほど、一方の値が大きい人ほど他方の値も大きいという傾向が強いことを表します。ただし、値の差がどれだけ大きいかは表しません。

ρがどのくらいなら「強い」といえるかには、いくつもの目安があります。米国の心理学者Cohen(コーエン)は、相関係数0.1を小さい、0.3を中程度、0.5を大きい効果の目安としました⁠[14, 15]。一方、麻酔領域の雑誌に載った解説は、こうした区切りは恣意的で一貫していないと指摘しています。たとえば0.65は、当てはめる目安によって「良い」相関とも「中程度」の相関ともされます⁠[4]。

救急医学の雑誌に載った解説も、同じ強さの相関係数が研究者によって違う言葉で呼ばれ、その解釈は研究分野によって大きく異なると述べています。そのうえで、論文では相関係数の値と向きをはっきり示す必要があるとしています⁠[16]。ρの値と信頼区間を示し、その分野でこれまでに報告されてきた値と比べると、値の大きさを判断しやすくなります。

順位を使う相関係数には、Kendallの順位相関係数τ(タウ)もあります。2人ずつ組にしたとき、2つの変数の大小の向きがそろう組とそろわない組の数の差から求めます⁠[17]。τは1900年ごろにFechner(フェヒナー)らが論じ、1938年にKendallが独立に発表した係数です⁠[18, 19]。

τとρは尺度が違うので、同じデータでも値をそのまま比べることはできません。たとえば2つの変数が正規分布に従い、Pearsonの相関係数が0.5のとき、ρは約0.48、τは約0.33です(筆者の計算)。計算には、正規分布のときのρとτの値を表す式を使いました⁠[13, 17]。

SPSSが出す「Kendallのタウb」は、同順位の組の数を分母に入れて補正したτです⁠[20]。同順位の扱いは、Kendallが1945年の論文で論じています⁠[21]。

Spearmanの順位相関係数の検定と信頼区間

人数が少ないと、大きなρでも有意にならないことがあり、4人では順位が完全に一致しても、両側5%の水準で有意になりません。検定の帰無仮説は「2つの変数の順位の間に関連はない」です。人数が少ないときは、順位の並び方をすべて数え上げて、正確なp値を求めます。

4人なら、一方の順位に対するもう一方の順位の並び方は24通りしかありません。順位が完全にそろう並び方も、完全に逆になる並び方も1通りずつです。そのため、関連がなくても、2÷24≒0.083の確率でどちらかが起こります(表1)。

人数有意になるρの大きさ(両側5%)
4人なし(ρ=1でもp=0.083)
5人1.000(順位が完全に一致したときだけ)
6人0.886以上
7人0.786以上
8人0.738以上
9人0.700以上
10人0.648以上
20人約0.44以上
30人約0.36以上
50人約0.28以上
100人約0.20以上
633人約0.08以上

表1 有意になるのに必要なρの大きさ(同順位がない場合。10人までは正確な分布、20人以上はt分布による近似で筆者が計算)

人数が多いときは、t分布による近似でp値を求めます。後で示すSPSSの出力のp値も、この近似で計算した値と一致します(筆者の計算)。無料の統計ソフトRのcor.test関数は、同じ値がなければ、10人未満では正確なp値を求めます⁠[22]。

人数が多くなると、逆のことが起こります。633人いれば、ρが0.08程度の、ほとんど関連がないといってよい弱い相関でも有意になります(表1)。p値が小さいことは相関が強いことを意味せず、この点はPearsonの積率相関係数の記事でも説明しています。

結果には、ρの大きさと、その95%信頼区間をあわせて示します。ρの信頼区間には、順位相関に合わせて標準誤差を改良した求め方が提案されています⁠[23]。区間の考え方は、95%信頼区間の記事で説明しています。

Pearsonの相関係数との違い

ρは値でなく順位の相関なので、直線でなくても、一方が増えれば他方も増える、または減る単調な関係の強さを表します。外れ値や順序尺度のデータにも使えますが、値の差の大きさは使いません。Pearsonの相関係数は、直線の関係の強さを表します⁠[4]。3つの場面で、2つの相関係数を比べてみます(図3)。

架空のデータで、Pearsonの相関係数rとSpearmanの順位相関係数ρを比べた図。上は歩行速度が速いほど1日の歩数が多いが直線ではない関係で、rは0.79、ρは1.00。下は体重と在院日数にほとんど関係がない9人(rは−0.19、ρは−0.17)に外れ値の1人が加わると、rは0.85に変わるがρは0.15にとどまる

図3 Pearsonの相関係数rとSpearmanの順位相関係数ρの違い(架空のデータ)。上は向きはそろっているが直線ではない関係で、歩数を対数にするとrは0.94に変わるが、ρは1.00のまま。下は関係のほとんどない9人に、外れ値の1人が加わった場合

1つ目は、直線ではないが向きのそろった関係です。図3の上では、歩行速度が速い人ほど1日の歩数が多く、2つの順位は完全にそろっています。そのためρは1.00ですが、点が直線に並んでいないので、Pearsonの相関係数は0.79にとどまります。歩数を対数に変えると、Pearsonの相関係数は0.94に変わりますが、順位は変わらないので、ρは1.00のままです。

2つ目は外れ値です。図3の下の9人では、体重と在院日数の間にほとんど関係がありません(r=−0.19、ρ=−0.17)。ここに体重95kg、在院日数120日の1人が加わると、Pearsonの相関係数は0.85に跳ね上がり、強い正の相関があるように見えます。

Pearsonの相関係数は、それぞれの値が平均からどれだけ離れているかを掛け合わせて計算するので、極端に離れた1人の影響が大きくなります。順位では、この1人はどちらの変数でも10人中の最大、つまり10位になるだけで、ρは0.15にとどまります。1人の値がどれだけ大きくずれても、順位では、その人の順位が端まで動くだけです。そのため、ρは外れ値の影響を比較的受けにくいとされます⁠[4]。

3つ目は順序尺度のデータです。徒手筋力テストの段階や、アンケートの「とても当てはまる」「やや当てはまる」といった選択肢は、順番に意味があります。しかし、段階の間隔が等しいとは限りません。順位は順番だけを使うので、こうしたデータにもそのまま使えます⁠[4]。尺度の違いは、統計データの尺度水準の記事で説明しています。

データが正規分布に近く、関係が直線に近いなら、2つの相関係数はほとんど同じ値になります。先に述べたように、2つの変数が正規分布に従う場合、Pearsonの相関係数が0.5なら、ρは約0.48です。そうしたデータでは、どちらを使っても結論はほとんど変わりません。

逆に、同じデータで2つの相関係数が大きく違うときは、外れ値や曲がった関係がないかを散布図で確かめる合図になります。使い分けの考え方は、パラメトリック検定とノンパラメトリック検定の記事で扱っています。

Spearmanの順位相関係数の限界

ρは値の差の大きさを使わず、相関がなく正規分布に従うデータでは、Pearsonの相関係数より効率がやや下がります。効率は、Pearsonの相関係数の約91%です⁠[10]。相関が0に近いとき、同じ検出力を得るには、Pearsonの相関係数のおよそ1.1倍の人数が要ることを表します(筆者の計算)。先に述べたように、Spearmanは順位を使えば誤差が小さくなると考えましたが、この条件では当てはまりません。

相関が強くても、2つの測定が一致しているとは限りません。たとえば、2人の検者が、56点満点のBerg Balance Scale(バーグバランススケール)で同じ10人を評価したとします。検者Bは、全員に検者Aより5点高い点をつけました。2人がつけた順位は完全にそろうので、ρは1.00ですが、2人の点数は1人も一致していません。

Bland(ブランド)とAltman(アルトマン)は、2つの測定法の一致を相関係数で調べるのは誤解を招くと指摘しています⁠[24]。一致や信頼性を調べるには、級内相関係数や、2つの測定値の差を図に描く方法を使います。調べ方は、級内相関係数の記事で説明しています。

相関は因果関係も示しません。たとえば握力と歩行速度に相関があっても、年齢のように両方に影響する要因が背後にあるかもしれません。ほかの変数の影響を除いた相関は、偏相関係数の記事で扱っています。

SPSSでの手順と出力の見方

SPSSでは、「分析」→「相関」→「2変量」で2つの変数を移し、「相関係数」の「Spearman」にチェックを入れます⁠[25]。模擬データを使って、手順を示します。ある施設の男性職員633人で、体重と、朝食をとる頻度の関連を調べるとします。

朝食は「毎日食べる」を1、「週4回以上」を2、「週2〜3回」を3、「ほとんど食べない」を4とする4段階の順序尺度です。633人が4つの段階に分かれるので、同順位がとても多くなります。帰無仮説は「体重と朝食の頻度の間に関連はない」、対立仮説は「関連がある」です。

  1. 体重と朝食摂取状況を2つの列に並べ、1人を1行に入力します。
  2. メニューから「分析」→「相関」→「2変量」を選びます。
    SPSSのメニューで、分析、相関、2変量の順に選ぶ画面
  3. 「体重」と「朝食摂取状況」を「変数」の欄に移します(図の①)。「相関係数」で「Kendallのタウb」と「Spearman」にチェックを入れます(②)。「有意差検定」で「両側」を選んで(③)、「OK」を押します(④)。
    2変量の相関分析のダイアログで、変数に体重と朝食摂取状況を入れ、相関係数のKendallのタウbとSpearmanにチェックを入れ、有意差検定で両側を選び、OKを押す手順を示した画面
  4. 結果が出力されます。
    SPSSの相関の出力で、Kendallのタウbの相関係数が0.022、有意確率(両側)が0.475、Spearmanのローの相関係数が0.029、有意確率(両側)が0.466、度数がいずれも633であることを示した画面

出力の「相関」の表で、Spearmanのローの相関係数は0.029、有意確率(両側)は0.466です。Kendallのタウbは0.022、有意確率は0.475で、人数を表す度数は、どちらも633です。どちらも有意ではありません。

ρの95%信頼区間を求めると、およそ−0.05〜0.11になります(筆者の計算)。関連があったとしても、Cohenの目安で「小さい」とされる0.1を大きく超えることはないと考えられます。

Rでは cor.test(x, y, method = "spearman") で同じ計算ができます。Excel(エクセル)でも、RANK.AVG関数で2つの列それぞれに順位をつけ、CORREL関数で順位どうしの相関係数を求めれば、ρが得られます。RANK.AVG関数は同じ値に平均の順位をつけるので⁠[26]、同順位がある場合も統計ソフトと同じ値になります。

結果の書き方

結果は、ρ、95%信頼区間、p値、人数をあわせて書き、散布図を添えます。散布図があれば、外れ値や曲がった関係がないかを、論文の読者も確かめられます。論文や報告書では、たとえば次のように書きます。

体重と朝食をとる頻度(4段階)の関連を、Spearmanの順位相関係数で調べた。有意な相関は認められなかった(ρ=0.03、95%信頼区間 −0.05〜0.11、p=0.47、n=633)。

まとめ

Spearmanの順位相関係数は、2つの変数をそれぞれ順位に置き換え、順位どうしでPearsonの相関係数を計算した値です。値でなく順位の相関なので、直線でなくても、一方が増えれば他方も増える、または減る単調な関係の強さを表し、外れ値や順序尺度のデータにも使えます。一方で、値の差の大きさは使いません。

人数が少ないと大きなρでも有意にならないことがあり、4人では順位が完全に一致しても有意になりません。人数が多いとごく弱い相関でも有意になるので、ρの大きさと信頼区間をあわせて示します。相関が強くても、2つの測定が一致しているとは限りません。

ρの計算は、Spearmanが1904年に知能の研究で使った計算と同じです。Spearmanは、能力の順位どうしの対応をPearsonらの積率相関の方法で調べ、順位を使えば誤差が小さくなるとも考えました。この見方は、相関がなく正規分布に従うデータでは当てはまらないことが、のちに示されています。

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