就寝前の下肢ストレッチで夜間の下肢こむら返りの頻度と痛みが減少する


今回紹介する文献
Stretching before sleep reduces the frequency and severity of nocturnal leg cramps in older adults: a randomised trial.
 (Hallegraeff JM et al., J Physiother. 2012; 58(1): 17-22)

 ストレッチが夜間こむら返りの発生頻度と発生時の痛みの強さ(重症度)に与える影響についての論文を紹介します。この研究では,夜間下肢こむら返り患者80名(55歳以上)をランダムに毎晩睡眠前にハムストリングスと下腿三頭筋のストレッチを実施する群(ストレッチ群,40名)とストレッチを行わない群(対照群,40名)に分けて, 一日の下肢こむら返りが起きた頻度,下肢こむら返りに関する痛みの程度(VASで測定)を比較しました。結果は下肢こむら返りの頻度はストレッチ群に有意な減少が認められ,痛みの程度もストレッチ群に有意な減少が認められたようです。著者らは睡眠前のストレッチは夜間下肢こむら返りの頻度と重症度を軽減させると述べています。

 実際に行ったストレッチは以下の3つのようです(画像は.Hallegraeff JM et al., J Physiother. 2012; 58(1): 17-22. から引用)。

a) ふくらはぎのストレッチ(立位)

b) ハムストリングスのストレッチ(立位)

c) ハムストリングスとふくらはぎのストレッチ(長座位)

コメント

 このようなこむら返りは加齢とともに一般的に発生しやすくなるといわれています。私も歳を重ねるごとに夜間にこむら返りで目がさめることが多くなってきました。上の画像のような簡単なストレッチを寝る前に行うだけでこむら返りの発生率が減少,かつ発生したとしても痛みが減弱するなら,やらない手はないかと思っています。しかし,ストレッチによってこむら返りが起こらなくなるわけではないことに注意してください。ちなみにこの文献のIntroductionによると,こむら返りの原因は今だ不明なようです。今のところ,さまざまな要因(電解質異常による運動神経の興奮,利尿剤の関与など)によって引き起こされる可能性が指摘されているようです。

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