Lateropulsionの特徴とリハビリテーション


こんにちは、Charcot(@StudyCH)です。

Lateropulsion (ラテロパルジョン) とは、pushing 現象と並び脳卒中急性期によくみられる姿勢定位障害です。

患者さんの姿勢が一側に傾いてしまいますが、同じ姿勢定位障害のpushing 現象とは異なり、介助者が正中に戻そうとしてもそれに抵抗することはありません。

この記事ではLateropulsion (ラテロパルジョン) の特徴や治療介入ついての考え方を説明します。

どういう症例に多いか?

Lateropulsion (ラテロパルジョン) は、主に脳幹梗塞、あるいは出血後に出現します。特に、延髄外側症候群(ワレンベルグ症候群)と併発して出現することが多いです(図1)。

※左カラムの図と対比させるため右カラムの画像は上下反転してあります。


責任病巣はどこか?

脊髄小脳路や前庭脊髄路などがLateropulsion (ラテロパルジョン) の責任病巣として考えられています。

また、lateropulsion と併存する症状毎に責任病巣を分類すると、眼振を伴うと前庭神経下核、感覚解離を伴うと脊髄視床路、運動失調を伴うと脊髄小脳路に病変が集中すると報告されています (Eggers C et al., Eur. J. Neurol. 2009)。

予後はどうなる?

Lateropulsion (ラテロパルジョン) の予後は良好で、急性期あるいは回復期の期間中には一側への傾倒はみられなくなります。これは代償性に身体の垂直判断を修正している(できるようになる)ためだと考えられています。

評価方法

Lateropulsion (ラテロパルジョン) は自覚的視性垂直位 (SVV) との関連が指摘されています。

SVVは、視覚的にみた垂直位が実際の垂直位とどの程度離れているかで評価します。Lateropulsion が重症であるほど SVV が大きくなることが報告されています (Dieterich et al., 1992)。

一方で、このような評価は臨床現場では一般的ではなく、延髄外側障害由来のlateropulsion の臨床的な評価指標は調べた限りみつかりませんでした(もしご存じの方がいたら教えてください)。

治療介入の考え方

明確な治療の方法論は確立されていません。おそらく、姿勢制御に関わる機能の中で、lateropulsion によって障害されていない機能で代償的なアプローチを行うことが有効だと考えられます。

Lateropulsion はその障害領域から姿勢に関与する前庭機能障害が生じていると推測できます。また、SVVが障害されているので視覚的な判断に頼るのも困難でしょう。従って、姿勢に関与する固有感覚受容や体性感覚を利用することが選択肢の一つだと思います。

まとめ

Lateropulsion (ラテロパルジョン) は、pushing 現象ほど頻回ではありませんが、急性期脳卒中のリハビリテーションを担当していると対応することの多い障害の一つです (Pushing現象については「Pushing現象の特徴とリハビリテーション」を参照して下さい)。

感覚障害や運動失調と併発することが多いため介入に難渋することもあります。今のところ根拠のある介入方法は確立されていません。

予後が良好なので問題視されていない側面もあると思いますが、早急にこの症状が軽減すると、その後のリハビリテーション介入がスムースに進むと考えられます。

それでは皆さんの学習がより進むことを願って。

Charcot(@StudyCH)でした。All the best。