相関係数と回帰分析の違い


 相関係数と回帰分析は一見すると同じような内容にみえます。しかし,この2つは明確に目的が異なります。ここでは相関係数と回帰分析の違いについて説明します。

相関係数とは

 相関係数はある変数とある変数の関係の強さを数量で表すものです。例えば,A病院の脳卒中患者を対象に入院時のNIHSS(脳卒中総合評価指標)得点と入院時のFIM(ADL能力評価指標)得点の関係を知りたい場合,相関係数を用います。相関係数(R)は2つの関係の強さを示す指標です。

回帰分析とは

 回帰分析はある変数から,もう一方の変数を予測するために用いられます。A病院の脳卒中患者の入院時のNIHSS得点から,退院時のFIM得点を予測したい場合,回帰分析を用います。予測式の精度を示す指標として決定係数(R2乗)があります。

相関係数と回帰分析の違い

 相関係数と回帰分析は明らかにしたいことの目的が異なります。相関係数はある変数とある変数の関係の強さを数量で表すものです。一方で,回帰分析はある変数から,もう一方の変数を予測するために用いられます。

 相関係数と回帰分析は研究の仮説や研究計画によってどちらを用いるかを決めなくてはなりません。混同して用いないように注意して下さい。例えば回帰式の決定係数を相関係数のようにあつかったりするのは本来の目的ではありません。

まとめ

 相関係数も回帰分析も散布図を確認したり,2つの変数の関係性を形にする点では共通しています。しかし,研究のデザインを考える上で,この2つは明確に異なるものなので,相関係数を提示するべき時に,決定係数を提示したり,予測式を立てる時に,散布図と相関係数を提示したりしないように気をつけて下さい。