Pearsonの積率相関係数:rは何を測っているのか

Pearsonの積率相関係数:rは何を測っているのか

統計学者のAnscombe(アンスコム)が作った4組のデータは、どれも11個の点からなります。xの平均が9、yの平均が7.5、相関係数が0.82で、回帰直線もy=3+0.5xと、4組とも同じです。しかし散布図に描くと、直線のまわりにばらつく組、曲線に並ぶ組、1点だけが外れる組、1点を除いてxがすべて同じ値の組と、点の並び方はまったく違います⁠[1]。相関係数rは1つの数で関係をまとめるので、点の並び方の多くの情報が抜け落ちます。

通所リハビリテーションと地域の体操教室に通う高齢者120人で、握力と歩行速度を測りました。Pearson(ピアソン)の積率相関係数を計算すると、r=0.40、p<0.001で、握力が強い人ほど速く歩く傾向がありました。握力がある程度強い人のあいだでも同じ傾向があるかを調べるため、握力が28kg以上の31人だけで計算し直しました。すると、r=0.17、p=0.37になり、関係はほとんど見えなくなりました。集めた人を変えただけでrがこれほど変わるなら、rは何を測っているのでしょうか。

この記事の要約(押すと開閉します)
  • 定義:2つの量的な変数の直線的な関係の強さを、−1から+1の数で表す指標。rは直線的な関係の強さだけを表すので、曲線の関係、集めた人の値の幅、人数、因果は別に考える
  • 生まれた経緯:1888年にGaltonが、単位をそろえた2つの測定値の直線の傾きとしてrを示した。1896年にPearsonが、平均からのずれの積から求める値を、正規分布のもとで最も確からしい値として導いた。1915年にFisherが小さな標本でのrの分布を導き、1921年にzへの変換を、1925年の教科書でt分布による検定を示した
  • 求め方:1人ずつ、2つの値の平均からのずれを掛け合わせて合計し、それぞれのばらつきの大きさで割る。「積率」は、このずれの積の平均を指す
  • 読み方:一方の変数が平均より1標準偏差大きい人は、もう一方が平均してr標準偏差大きい。r²は、一方の違いのうち直線の関係で説明できる割合。「強い」「弱い」の目安は文献によって違う
  • 検定と信頼区間:p値は「直線的な相関がない」かどうかを調べるもので、人数が多いと弱い相関でも有意になる。rの値と、Fisherのz変換で求めた95%信頼区間をあわせて示す
  • 限界:曲線の関係や外れ値は、散布図を見ないとわからない。集めた人の値の幅が狭いと、rは小さくなる。相関があっても、一方が他方の原因とは限らない
  • 前提:rの値そのものは、分布の仮定なしに計算できる。p値と信頼区間は、2つの変数が合わせて正規分布に従うことを前提にする。正規性の検定より先に散布図を見る
  • ほかの方法との違い:外れ値や順序尺度のデータには、Spearmanの順位相関係数を使う方法がある。ほかの変数の影響を除いた相関は、偏相関係数で調べる。2つの測定方法の一致は、相関係数ではわからない
  • SPSSでの手順:「分析」→「相関」→「2変量」で2つの変数を選び、「Pearson」にチェックを入れ、「両側」を選ぶ
  • 結果の書き方:r、95%信頼区間、p値、人数をあわせて書き、できれば散布図を示す。対象をどう選んだかも書く

Pearsonの積率相関係数とは

Pearsonの積率相関係数は、2つの量的な変数の直線的な関係の強さを、−1から+1の数で表す指標です。英語ではPearson's product-moment correlation coefficientと呼び、記号はrで表します。量的な変数とは、尺度水準でいう間隔尺度や比率尺度のデータです。点がすべて右上がりの直線に乗ればr=1、右下がりの直線に乗ればr=−1になります。

rは2つの値の直線的な関係の強さだけを表すので、曲線の関係、集めた人の値の幅、人数、因果は、別に考える必要があります。rが0に近くても、直線ではない関係が隠れていることがあります。集めた人の値の幅が狭いと、rは小さくなります。rの検定のp値は、人数によって大きく変わります。また、rが大きくても、一方が他方の原因とは限りません。

Pearsonの積率相関係数が生まれるまで

いまのrには、2つの測定値の関係の強さを単位によらない1つの数で表す考え方と、その数をすべてのデータから計算する式が含まれています⁠[2, 3]。どちらも19世紀の終わりの英国で、遺伝や進化の研究の中で示されました。少ない人数でrを扱う方法は、20世紀の初めに加わりました⁠[4–6]。図1に、主な出来事を年の順に示します。

Pearsonの積率相関係数が生まれるまでの年表。各行に、そのとき問題になったことと、それに答えた方法を示す。1888年、Galtonは、相関をはっきり定義し程度を測る試みを知らないと書き、単位をそろえた2つの測定値の直線の傾きをrとした。1896年、Pearsonは、相関が図の上で求められていたことに対して、平均からのずれの積から求める値が、正規分布のもとで最も確からしいことを導いた。1915年、Fisherは、大きな標本で成り立つ近似の式しかなかったことに対して、小さな標本でのrの分布を導いた。1921年、Fisherは、±1の近くでふつうの確率誤差が役に立たないことに対して、rをzに変換すると正規分布に近くなることを示した。1925年、Fisherは、小さな標本では標準誤差の式による検定が誤ることに対して、t分布の表による検定を示した。1888年、1896年、1921年、1925年は緑で、いまの手順のもとになった段階。1915年は灰色

図1 Pearsonの積率相関係数が生まれるまでの主な出来事。矢印の左はそのとき問題になったこと、右はそれに答えた方法。緑は、いまの手順のもとになった段階

英国の科学者Francis Galton(フランシス・ゴルトン)は、遺伝を調べていました。相関係数と回帰分析の違いの記事で説明しているように、Galtonは1886年に、子の身長は親ほど平均から離れないという回帰の傾向を報告していました⁠[7]。

相関という語は、生物学、とくに遺伝の分野でよく使われていました。しかしGaltonは1888年の論文で、相関をはっきり定義した試みも、その程度を測る方法を示した試みも知らない、と書いています⁠[2]。Galtonは、サウス・ケンジントンにある自分の人体測定研究所で、21歳以上の男性約350人を測ったデータを使いました⁠[2]。

データには、身長、左腕の肘から中指の先までの長さ(キュービット)、頭の長さなど、6つの測定値が含まれていました⁠[2]。Galtonは、それぞれの値を中央値からのずれで表し、そのずれを測定値ごとのばらつきの大きさ(確率誤差)で割って、単位をそろえました⁠[2]。そのうえで、身長ごとのキュービットの中心の位置と、キュービットごとの身長の中心の位置を図に描くと、点はほぼ1本の直線に並びました⁠[2]。

Galtonは、この直線の傾きをrとしました。そして、rはどちらの測定値を基準にしても同じ値になり、相関の近さを測る数になると書いています⁠[2]。身長とキュービットではr=0.8、身長と頭の長さでは0.35でした⁠[2]。

英国の統計学者Karl Pearsonは、生物の進化を統計の方法で調べていました⁠[3]。それまでGaltonは、相関と回帰を図の上で求めていました⁠[3]。

Pearsonは、1895年までに、積率相関係数の数学的な性質を導いていました⁠[3]。1896年の論文でPearsonは、2つの変数が合わせて正規分布に従う場合を考えました。そして、平均からのずれの積から求める値が、相関係数の最も確からしい値になることを導いています⁠[8, 9]。

rがどのくらいばらつくかについては、Pearsonらが、大きな標本で成り立つ近似の式を示していました⁠[4]。英国生まれの化学者Gosset(ゴセット)は、Student(スチューデント)の筆名で、t検定のもとになる表を示した人です⁠[10]。Studentは1908年に、小さな標本でのrの分布を調べました⁠[10]。母集団の相関が0のときは、分布の形を推測できました。しかし、0でないときの式は示せませんでした⁠[10]。

英国の統計学者Ronald Fisher(ロナルド・フィッシャー)は1915年、小さな標本でのrの分布を正確に導きました⁠[4, 10, 11]。1921年の論文でFisherは、rの分布は±1に近いところで形が大きく変わり、ふつうの確率誤差の式はほとんど役に立たないと書いています⁠[5]。そこで、rをzに変換すると、分布はほぼ正規分布になり、その標準偏差は母集団の相関によらなくなることを示しました⁠[5]。

1925年の教科書でFisherは、小さな標本では、rの標準誤差の式にもとづく検定はしばしば誤りを招くと書いています⁠[6]。そこで、母集団の相関が0かどうかをt分布の表で調べる方法を示し、zへの変換の使い方もあわせて載せました⁠[6]。

次の節から説明する知識のうち、単位をそろえてから関係の強さを1つの数で表す考え方は、Galtonの1888年の論文にあります⁠[2]。ただしGaltonは、平均と標準偏差ではなく、中央値と確率誤差で単位をそろえていました⁠[2]。rを、単位をそろえた直線の傾きとしてとらえる見方は、Galtonの求め方にも見られます⁠[2]。

平均からのずれの積から求めるいまの式は、Pearsonが1896年に導いたものと同じ形です⁠[9]。rの検定をt分布で行う手順は、Fisherの1925年の教科書にあります⁠[6]。rをzに変換して扱う方法は、Fisherが1921年の論文で示し、同じ教科書にも載せています⁠[5, 6]。

Pearsonの積率相関係数の求め方

Pearsonの積率相関係数は、1人ずつ2つの値の平均からのずれを掛け合わせて合計し、それぞれのばらつきの大きさで割って求めます。書き出しの高齢者120人のデータで、計算をたどってみます(図2)。握力の平均は24.0kg、歩行速度の平均は0.92m/sでした。2本の平均の線で、散布図を4つの区画に分けます。

高齢者120人の握力と歩行速度の散布図。握力の平均24.0kgと歩行速度の平均0.92m/sの線で4つに分けると、右上と左下の区画では平均からのずれの積がプラス、左上と右下ではマイナスになる

図2 平均からのずれの積の符号(架空のデータ)。緑の点は積がプラス、灰色の点は積がマイナスの人

右上の区画の人は、握力も歩行速度も平均より大きいので、2つの「平均からのずれ」はどちらもプラスで、掛け合わせた積もプラスです。左下の人は両方ともマイナスなので、積はやはりプラスになります。左上と右下の人は、片方がプラスで片方がマイナスなので、積はマイナスです。

120人のうち、積がプラスになる区画の人は80人、マイナスになる区画の人は40人で、積の合計もプラスになりました。握力が強い人ほど歩行速度が速いという傾向があれば、点は右上と左下に集まり、積の合計は大きなプラスになります。逆の傾向なら大きなマイナスに、傾向がなければ、プラスとマイナスが打ち消し合って0に近づきます。

積の合計を(人数−1)で割ったものを、共分散と呼びます。ただし共分散は、kg×m/sという単位をもち、握力をgで測れば1000倍になってしまいます。そこで、共分散を2つの変数の標準偏差で割って、単位を消します。こうして求めた値が、Pearsonの積率相関係数です。

r=Σ(x−x̄)(y−ȳ)/√{Σ(x−x̄)²×Σ(y−ȳ)²}

x̄とȳは、xとyの平均です。同じ値は、2つの変数をそれぞれ標準化した値に直してから、1人ずつ掛け合わせて平均しても求められます。標準化した値とは、平均からのずれを標準偏差で割った値です。このときの平均は、人数−1で割って求めます。

統計学では、平均からのずれを2乗して平均したもの(分散)のように、ずれのべき乗の平均を「モーメント(積率)」と呼びます。2つの変数のずれの積の平均なので、「積率(product-moment)」相関係数という名前になりました。

Pearsonの積率相関係数の読み方

rは、一方の変数が平均より1標準偏差大きい人で、もう一方の変数が平均して何標準偏差大きいかを表します。握力が平均より1標準偏差(5.7kg)強い人は、歩行速度が平均して0.40標準偏差(0.09m/s)速いことになります(筆者の計算)。2つの変数を標準化して回帰直線を引くと、その傾きがrになります。先に述べたように、Galtonも、単位をそろえた直線の傾きとしてrを求めていました。

rの絶対値が1より小さければ、一方が平均から大きく離れた人でも、もう一方は平均して、それほど平均から離れません。この傾向は、平均への回帰と呼ばれます。相関係数と回帰分析の関係は、相関係数と回帰分析の違いの記事でも説明しています。

rを2乗した値も、よく使われます。rの2乗(r²)は、一方の変数の違い(分散)のうち、もう一方との直線の関係で説明できる割合を表します。r=0.40ならr²=0.16で、歩行速度の違いのうち、握力との直線の関係で説明できる割合は16%です。

rを「強い」「弱い」と言葉で表す目安もあります。しかし、区切りの値も言葉も、文献によって違います。麻酔領域の雑誌に載った解説は、こうした区切りは恣意的で一貫していないと指摘しています⁠[12]。言葉より、rの値と信頼区間を示すほうが誤解が少なくなります。目安の違いは、Spearman(スピアマン)の順位相関係数の記事でも紹介しています。

Pearsonの積率相関係数の検定と信頼区間

rの検定は、母集団の相関係数が0かどうかを調べるもので、同じrでも、人数が多いほどp値は小さくなります。帰無仮説は、母集団の相関係数が0、つまり「直線的な相関がない」というものです。t=r√(n−2)/√(1−r²)(nは人数)を、自由度n−2のt分布と比べてp値を求めます。式の分子に√(n−2)があるので、rが同じなら、人数が多いほどtは大きくなります。

相関係数0.40のときの95%信頼区間とp値を人数別に示した図。10人ではp=0.252、20人では0.081で有意ではなく、30人で0.029、50人で0.004、100人と200人では0.001未満。人数が増えるほど信頼区間は狭くなる

図3 r=0.40のときの人数別の95%信頼区間とp値(筆者の計算)。緑はp<0.05

図3のように、r=0.40でも、20人ではp=0.081で有意になりません。r=0.40が5%の水準で有意になるには、両側検定で25人が必要です。逆に120人いれば、r=0.18で有意になり、560人ではr=0.09でも有意になります(筆者の計算)。

人数が多ければ、弱い相関でもp値は小さくなります。p値が小さいことは、相関が0ではないと言えることを示すだけで、相関が強いことを示すわけではありません。逆に、有意でないことは、相関がないことを意味しません。握力が28kg以上の31人のr=0.17の95%信頼区間は−0.20〜0.49と広く、相関の強さはほとんど絞り込めていません(筆者の計算)。

信頼区間は、rをFisherのz変換で正規分布に近い形に直してから求めます。rの分布は、母集団の相関係数が0でないと、左右非対称にゆがむからです。z=½ln{(1+r)/(1−r)}はほぼ正規分布に従い、その分散は1/(n−3)とみなせます⁠[6]。握力と歩行速度を測った120人では、r=0.40の95%信頼区間は0.24〜0.54でした。区間の考え方は、95%信頼区間の記事で説明しています。

Pearsonの積率相関係数の限界

rは直線の関係しか表さないので、曲線の関係や外れ値は、散布図を描かないとわかりません。書き出しで紹介したAnscombeの4組のデータを散布図にすると、図4のようになります。Anscombeは、計算の前後にデータを図に描くことの大切さを、この4組で示しました⁠[1]。どの組もr=0.82ですが、rで関係をまとめてよい組は、点が直線のまわりにばらつくAだけです。

Anscombeの4組のデータの散布図。どれも相関係数は0.82で回帰直線も同じだが、Aは直線のまわりにばらつき、Bは曲線、Cは1点を除いて直線上に並び、Dは1点を除いてxがすべて同じ値

図4 相関係数がすべて0.82になる4組のデータ(文献1のデータをもとに作成)

Bは曲線の関係で、点はほとんど誤差なく並んでいますが、直線ではないためrは0.82にとどまります。Cは、10点がぴったり直線に乗っていて、その10点だけならr=1.00です(筆者の計算)。1点の外れ値が、rを0.82に引き下げています。Dでは、8以外のxをとる点が1点だけで、この1点がなければ相関係数は計算すらできません。

書き出しの例で、握力が28kg以上の31人だけで計算し直すと、rは0.40から0.17に下がりました。rは、集めた人の値の幅が狭いと小さくなります。図5は、図2と同じ120人のうち、その31人を緑で示したものです。

図2と同じ120人の散布図で、握力28kg以上の31人を緑で示す。全員ではr=0.40、31人だけではr=0.17だが、2本の回帰直線の傾きはほぼ同じ

図5 握力の幅を狭めるとrは小さくなる(架空のデータ)。灰色の破線は120人全員、緑の線は31人の回帰直線

2本の回帰直線の傾きは、120人で握力1kgあたり0.016m/s、31人で0.015m/sと、ほとんど変わりません(筆者の計算)。31人でも、握力が1kg違うときの歩行速度の違いは、120人とほぼ同じです。一方、握力の幅は大きく変わりました。120人では11.0〜37.4kgに広がり、標準偏差は5.7kgでしたが、31人では28.0〜37.4kgに狭まり、標準偏差は2.4kgです。

歩行速度の違いには、握力と関係する部分と、脚の筋力、バランス、痛み、その日の体調など、握力と関係のない部分があります。握力の幅を狭めると、握力と関係する違いは小さくなりますが、関係のない違いはそのまま残ります。そのため、握力で説明できる割合が小さくなり、rも小さくなります。握力の強い人で関係が消えたわけではなく、31人の中では握力の違いがもともと小さいのです。

Bland(ブランド)とAltman(アルトマン)も、202人の体格指数(BMI)と腹囲の関係を例に、同じことを示しています⁠[13]。全体ではr=0.82でしたが、BMIを20、25、30で区切った各範囲の中ではrが小さくなり、回帰直線はあまり変わりませんでした⁠[13]。対象の選び方が違う2つの研究のrは、そのまま比べられません。2つの測定方法を比べる研究でも、測る量の幅の広い対象を集めるほどrは大きくなります⁠[14]。

また、2つの変数に相関があっても、一方が他方の原因とは限りません。握力と歩行速度に相関があっても、握力を鍛えれば速く歩けるようになるとは限りません。年齢や全身の筋量のように、両方に影響する要因が背後にあるかもしれないからです。

Pearsonの積率相関係数の前提

rの値そのものは、分布について何の仮定も置かずに計算できます⁠[12]。Pearsonの積率相関係数を使うには、データが正規分布に従っていなければならない、と説明されることもあります。しかし、正規分布の前提は、p値や信頼区間を求めるときに必要になります。このとき必要な前提は、2つの変数が合わせて正規分布に従うこと(2変量正規分布)です。

分布の形を調べるより先に、外れ値と曲線の関係がないかを散布図で確かめます。図4のCやDのような外れ値と、Bのような曲線の関係は、p値だけでなく、rの値そのものを変えてしまうからです。そのため、変数ごとに正規性の検定をする前に、散布図を描いて点の並び方を見ます。正規性の検定は、Shapiro-Wilk(シャピロ・ウィルク)検定の記事で説明しています。

Pearsonの積率相関係数とほかの方法の違い

外れ値があるときや、徒手筋力テストの段階のような順序尺度のデータには、Spearmanの順位相関係数を使う方法があります。Spearmanの順位相関係数は、値を順位に置き換えてから相関係数を求めます。直線ではなくても、一方が大きいほど他方も大きくなる、または小さくなる単調な関係なら、その強さを表せます⁠[12]。

途中で向きが変わる曲線の関係の強さは、Spearmanの順位相関係数でも表せません。図4のBは、点がほぼ1本の曲線に並んでいますが、Spearmanの順位相関係数は0.69で、rの0.82より小さくなります(筆者の計算)。外れ値や単調な関係の扱いは、Spearmanの順位相関係数の記事で説明しています。

ほかの変数の影響を除いた2つの変数の相関は、偏相関係数で調べます。偏相関係数の記事では、握力と歩行速度の相関から、両方に関係する年齢の影響を除く例を扱っています。

相関係数からは、2つの測定方法の結果が一致しているかどうかはわかりません。たとえば、関節可動域を2つの方法で測り、一方の方法がいつも5°大きく測れば、2つの値は一致しませんが、rは1に近くなります⁠[14]。一致の調べ方は、級内相関係数の記事で説明しています。

SPSSでの手順と出力の見方

SPSSでは、「分析」→「相関」→「2変量」を選び、2つの変数を移して「Pearson」にチェックを入れます。ここでは模擬データを使い、ある施設の男性職員で、体重と中性脂肪の関係を調べるとします。帰無仮説は「体重と中性脂肪の間に相関はない(母相関係数=0)」、対立仮説は「相関がある」です。計算の前に、散布図で外れ値や曲線の関係がないかを確かめておきます。

  1. 体重と中性脂肪を2つの列に並べ、1人を1行に入力します。
  2. メニューから「分析」→「相関」→「2変量」を選びます。
SPSSで「分析」メニューから「相関」→「2変量」を選ぶ画面
  1. 「体重」と「中性脂肪」を「変数」の欄に移します(図の①)。「相関係数」で「Pearson」にチェックを入れ(②)、「有意差検定」で「両側」を選んで(③)、「OK」を押します(④)。
SPSSの「2変量の相関分析」の画面。体重と中性脂肪を変数に移し、Pearsonと両側にチェックを入れてOKを押す
  1. 結果が出力されます。
SPSSの相関の出力。体重と中性脂肪のPearsonの相関係数は0.342、有意確率(両側)は.000、度数は560

出力の「相関」の表で、Pearsonの相関係数は0.342、有意確率(両側)は「.000」、度数は560でした。「.000」は0という意味ではなく、小数第4位を四捨五入すると0になる、つまり0.0005未満という意味なので、p<0.001と書きます。

表の対角にある度数は、体重では560、中性脂肪では561です。1人の体重が欠けているため、相関係数は、両方の値がそろった560人で計算されています。95%信頼区間は0.27〜0.41、r²は0.12です(筆者の計算)。体重と中性脂肪の間には、有意な正の相関がありました。しかし、中性脂肪の違いのうち、体重との直線の関係で説明できる割合は12%ほどです。

結果の書き方

結果は、相関係数の値、95%信頼区間、p値、人数をあわせて書き、できれば散布図を示します。分析の対象をどう選んだかも書いておくと、読者は、rが値の幅の影響を受けていないかを判断できます。高齢者120人の例なら、次のように書きます。

握力と歩行速度の間に正の相関を認めた(r=0.40、95%信頼区間0.24〜0.54、p<0.001、n=120)。

まとめ

Pearsonの積率相関係数は、2つの変数の平均からのずれを掛け合わせて平均し、単位を消した数です。点が直線のまわりにどれだけまとまっているかを表します。rは2つの値の直線的な関係の強さだけを表すので、曲線の関係、集めた人の値の幅、人数、因果は、別に考える必要があります。

rは直線の関係しか見ないので、計算の前に散布図を描きます。rは集めた人の値の幅によって変わり、握力が28kg以上の31人でも、回帰直線の傾きはほとんど変わらないまま、rだけが小さくなりました。p値は相関が0かどうかを調べるもので、人数が多ければ弱い相関でも有意になります。rの値は、信頼区間と対象の選び方とあわせて解釈します。

rには、単位をそろえて関係の強さを1つの数で表すGaltonの考え方と、平均からのずれの積から計算する、Pearsonが導いた式が含まれています。rに単位がなく、どちらの変数から見ても同じ値になるという性質は、Galtonの1888年の求め方にも見られます。

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参考文献

  1. Anscombe FJ. Graphs in statistical analysis. Am Stat. 1973;27(1):17-21. doi:10.1080/00031305.1973.10478966
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