プラスチック製短下肢装具の特徴と適応


 短下肢装具(AFO)は主に中枢神経系疾患患者,特に脳卒中片麻痺患者に多く用いられます。短下肢装具には様々な種類があって,その素材や構造によって特徴や患者さんへの適応が異なります。この記事では,プラスチック製短下肢装具(プラスチックAFO)に焦点を当てて,その利点や問題点,構造,付属品,適応患者などについて説明します。

プラスチック製短下肢装具とは

 短下肢装具は,下肢装具の中でも足底から下腿までを支持する構造を持ち,主に足関節の動きを制御するものです。その中でも,プラスチック製短下肢装具とは硬いプラスチック素材で下腿を覆うように設計された装具です。プラスチック製短下肢装具のデザインは様々で,デザインによって機能も若干異なります。後面支柱の短下肢装具を一般的にシューホーンブレースと呼びます(下図左側)。

図 プラスチック製短下肢装具の構成

プラスチック製短下肢装具の利点と問題点

 プラスチック製短下肢装具には,素材がプラスチックであるための利点や問題点があります。以下に利点と問題点に分けて述べます。

利点(メリット)

  • 素材がプラスチックであるため軽量
  • 外観が良い
  • 清潔で汚れにくい
  • 錆びて劣化することがない
  • 使用時に雑音がない
  • 患者の身体の正確な形を得られやすい(採型するため)
  • 可撓性タイプは比較的に強靭
  • 加熱により形の調整がある程度可能
  • 装具の上から靴を履きやすい

問題点(デメリット)

  • 継手部の耐久性が弱い
  • 破損した場合は修理できない
  • 制作後に足関節角度などの修正が行いにくい
  • 制作技術の熟練,適切な設備を要する
  • 汗を通さず通気性の悪いものが多い
  • 褥瘡や擦過傷が生じることがある

プラスチック製装具の構造と耐用年数

 プラスチック製装具の構造には板ばねと硬性があります。臨床で用いられるプラスチック製装具の多くは硬性です。板ばね,硬性,いずれの構造であっても,耐用年数は金属支柱付きの装具(3年)よりも短く,1.5年と言われています。

プラスチック製短下肢装具の普及
 日本で,プラスチック型短下肢装具が普及しはじめたのはいつくらいからでしょうか。一説によると,1971年頃にドイツのTeufel社からオルソレン製下垂足用装具が輸入販売されてからだそうです。このオルソレンは高密度ポリエチレンとも呼ばれる強靭なプラスチックで,現在でもプラスチック製装具の素材として用いられています。

支柱や足継手の種類と特徴

 プラスチック装具の支柱には後面支柱,前面支柱,側方支柱,らせん型支柱の4種類があります。また,継手には足関節の運動を起こせないほど強固な固定足継手(rigid ankle)と,プラスチック製の支柱が撓んである程度なら足関節運動を起こせる可撓足継手(flexible ankle)があります。固定足継手であれ,可撓足継手であれ,素材の厚みやトリミング(支柱を削って幅を調整すること)の状態によっては半固定継手(semi rigid)にもすることができます。

プラスチック製短下肢装具の適応患者

下垂足や軽度痙性麻痺の方に

 後方支柱型(靴ベラ式)のプラスチック製短下肢装具は底屈方向の運動が制限されます。したがって,弛緩性麻痺で下垂足のある患者さんに適しています。一方,底屈方向の制限があるとはいえ,固定性が弱いプラスチック装具は尖足を起こすような重度の痙性麻痺の方には適していません。無理に適応すると局所の圧迫による褥瘡や擦過傷などの二次障害を引きおこ可能性があるので注意が必要です。

膝のコントロールもある程度は可能

 プラスチック製短下肢装具でも採型の過程で背屈角度を調整することができて,反張膝の矯正に用いることもできます。ただし,金属支柱付き短下肢装具ほど自由に調整ができるわけではないので,状態の変化が激しい患者さんには適していません。

外見を気にされる患者さんに適している

 プラスチック製短下肢装具は,服の中に隠すことができて,靴を履くことも容易です。そのため,外見を気にされる患者さんに最も適しています。また,装具の重さは軽く,自分で履きやすいため,比較的自立した生活を送ることのできる患者さんに好まれます。

プラスチック製短下肢装具の適合度チェック

 リハビリ専門職(特に理学療法士)は,実際に作成された装具が患者さんに適しているかチェックする必要があります。チェック項目は以下のBoxを参照して下さい。

適合度のチェックポイント

  1. 装具が皮膚に全体的に接触していて,凹凸により局所に強い圧迫はないか(しばらく装着させて観察が必要)
  2. 足底部は平らで安定して接床しているか
  3. 足関節を0°からやや背屈に保持し,歩行時に下垂足となっていないか
  4. 舟状骨内側,踵骨後部,第5中足骨基底部,第1中足骨MP関節部などの骨突起部が圧迫されていないか
  5. トリミングラインは滑らかに仕上がっているか
  6. バンドやベルクロは装着時にしっかりと装具を保持しているか

まとめ

 プラスチック製短下肢装具は,短下肢装具の中でも軽量で,外観が良く,様々な種類があります。一方で,重度の痙性麻痺を持つ患者さんには用いることができず,一度作成してしまうと,その後の調整に限界があるという問題点もあります。患者さんからの人気が高い装具ですが,我々リハビリテーション専門職は,本当にプラスチック製短下肢装具がその患者さんに適合しているのかを見極めなければなりません。常に,患者さん個々の状態に合った装具を選択することを心がける姿勢が大切です。

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