身体重心と安定性(重心と支持基底面)


 人は重心の移動によって安定性を保っています。そのため,動作を観察する上で重心と支持基底面との関係性を知ることが必要になります。ここでは姿勢毎に変わる人の重心位置や,重心と支持基底面との関係を図を参考にしながら正しく学びましょう。

身体の中の重心位置

重心とは

 身体重心とは「上肢,下肢,体幹,頭部などの身体全ての質量が合わされた点」をいいます。地上にいる限り,地球の中心に引き寄せられる力(万有引力)が働きます。人の身体ではこの身体重心点に重力が作用します。また,重心から地球の中心に向かう線を「重心線」といいます。

身体重心の位置

(1) 身体重心位置:ほぼ第2仙椎の高さにあります。ちょうどおへその下あたりです。

(2) 上半身の重心位置:上半身の重心は胸骨剣状突起(第9胸椎)付近にあります。

(3) 下半身の重心位置:大腿骨中上1/2〜1/3の中間点にあります。

 重心の位置は年齢とともに下にきます。子どもの頃は頭部が大きく重いためです。また,重心は低いほうが安定性が増すので,幼少時は重心が高く転びやすいのかもしれません。また,上で示した重心位置は立っている時の重心位置ですが実際は椅子や床に座ることもあります。座っている時の重心位置は,各部位の重心線を結んだ位置に重心がきます(図1参照)。


重心と支持基底面の関係

支持基底面とは

 支持基底面は物体を支えている底面のことをいいます。底面が2つ以上ある場合は,その間の面積も含めます。例えば,立っている状態では両足の底と,その間の面積が支持基底面となります。足を開けばそれだけ支持基底面が広くなります(図2)。



支持基底面と重心との関係

 支持基底面と重心との関係を以下の図3に示しました。重心線が支持基底面内に収まっていれば物体は安定して,逆に支持基底面外へ移動すると倒れます。支持基底面は広いほうが安定しており,狭いと簡単な外力で重心線が支持基底面を外れて倒れてしまいます。


まとめ

 リハビリテーション分野の臨床では姿勢,あるいは動作の中で身体重心のある位置を推測して,支持基底面との関係を考察します。したがって,患者さんがどんな姿勢(動作)で安定していて,どんな姿勢(動作)だと不安定なのかを見極めるために重心と支持基底面との関係について深く知る必要があるでしょう。

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