筋肉痛の救世主:湿布薬についてまとめました


 久しぶりに運動して,身体中が筋肉痛になることって良くありますよね。私も最近,年甲斐もなく全力で運動して,結果,身体中に湿布を貼る事態になりました。市販されている湿布にしろ,病院で処方される湿布にしろ,湿布って思ったより種類があって,どれがどういう薬なんだろうと疑問に思いませんか?今回は湿布について調べてみました。

冷湿布と温湿布

 肩こりや筋肉痛には冷湿布が良いのか,それとも温湿布が良いのか。こういったことを患者さんから聞かれることも多いですよね。

 冷湿布と温湿布は,含まれる成分が異なります。冷湿布は,メントールが含まれており,TRPM8という受容体に作用して冷感を引き起こします。一方で温湿布は,トウガラシエキス (カプサイシン) が含まれており,TRPM1という受容体に作用して温感を引き起こします。

 一般的に,炎症が強い時期は温湿布よりも冷湿布を勧めることが多いようですが,実際のところ,温湿布の方が心地よく感じるのでしたら,温湿布を使用しても構わないようです。

鎮痛成分を含む湿布

 第一世代と言われる湿布は,メントールやトウガラシエキスなどに加えて,サリチル酸メチルという消炎鎮痛成分を含んでいましたが,この成分の鎮痛作用はあまり強くありませんでした。

 しかし,第二世代になるとNSAIDs (非ステロイド性抗炎症薬) という鎮痛成分を含んだ湿布が登場しました。これらは,鎮痛成分の含まれている量などから,市販薬と病院で処方されるものに分けられます。

 また,この第二世代の湿布には,一般的に湿布と言われる水分を多く含んだ (ゲル状の貼付け面の) ハップ剤と,それよりも薄く,粘着性に優れたテープ剤とがあります。

 第一世代と第二世代の湿布を,ハップ剤とテープ剤に分けて表にしたものを以下に示します。

ハップ剤 (水溶性)


含有成分
医療用
市販薬
第一世代
冷湿布
サリチル酸メチル                
dl-
カンフル
l-
メントール
MS冷シップ
サロンシップ
パテックス
ハリックス
温湿布
サリチル酸メチル
dl-
カンフル
トウガラシエキス
MS温シップ
サロンシップ温感
ハリックス
第二世代
冷湿布
インドメタシン
ケトブロフェン
ジクロフェナック
フェルビナク
ロキソプロフェン
フルルビプロフェン
カトレップ
 
セルタッチ
ロキソニンパップ
アドフィードパップ
オムニードパップ
オムニードケトブロフェンパップ
イブアウターパップ
フェイタスシップ
温湿布
フェルビナク
 
オムニードフェルビナク温感 

テープ剤 (脂溶性)


含有成分
医療用
市販薬            
第一世代
冷湿布
サリチル酸メチル
dl-カンフルl-メントール
 
サロンパス
温湿布
サリチル酸メチル
dl-カンフルトウガラシエキス
ハリホット    
サロンパスホット
第二世代
冷湿布
インドメタシン
ケトブロフェン
ジクロフェナック
フェルビナク
ロキソプロフェン
フルルビプロフェン
 
モーラステープ
ボルタレンテープ

ロキソニンテープ
ヤクバンテープ
バンテリンコーワ

ボルタレンテープ
フェイタスシップ
温湿布
フェルビナク
 
フェイタス温感 

 こうしてみてみると,同じNSAIDsでも様々な成分があるんですよね。どれも,効果に大差はないようですが,成分によっては副作用も微妙に違うので注意して下さい。今後,湿布薬を使用するさいは,その湿布が何世代の湿布でどんな成分が含まれているのか少し気に留めてみると面白いかもしれません。