運動神経細胞とα-γ連関


Charcot(@StudyCH)です。

脊髄から筋へ向かう運動神経には、どのような種類があって、どんな役割を果たしているのでしょうか。

ここでは運動神経細胞の種類(α運動ニューロンとγ運動ニューロン)や特徴と、運動神経細胞の活動の様子(α-γ連関)について説明します。

運動神経細胞の種類

運動神経細胞には直径の長い(太い)α運動ニューロンと短い(細い)γ運動ニューロンがあります。これらは一本の神経束の中に混在しています。それぞれのニューロンの特徴について以下に説明します。

α運動ニューロン

α運動ニューロンは直径12~20μm、伝導速度70~120m/secの有髄神経線維を持つ神経細胞です。脊髄前角に密集して分布しており、他方からの情報(活動電位)を筋へ伝える役割を持ちます。筋線維(錘外筋線維)を支配して実際の筋収縮に関与する運動神経細胞です。

γ運動ニューロン

γ運動ニューロンは直径2~ 7μm、伝導速度15~40m/secの有髄神経線維を持つ神経細胞です。α運動ニューロンと同様に、脊髄前角に密集して分布していますが、実際の筋収縮に直接関与しません。他方からの情報(活動電位)を錐内筋へ伝える役割を担っています。錐内筋とは筋紡錘内にある筋線維のことです。

α-γ連関

α-γ連関とは α運動ニューロンが活動する際に、γ運動ニューロンも同時に活動することをいいます。α-γ同時活性化とも呼ばれます。これは筋が収縮しても筋紡錘の活動を一定に保つための共同活動です。

α運動ニューロンだけが活動した場合

筋を収縮させる時に、脳からα運動ニューロンへと情報が伝わります。この時にα運動ニューロンだけが活動してしまうと筋線維(錘外筋)のみが収縮して、筋紡錘が相対的に緩んでしまいます。

筋紡錘が緩むと筋紡錘が活動しにくくなります。当然、伸張反射も起こりにくくなり、筋緊張が低下してしまいます。伸張反射については「伸張反射と特徴と役割」を参照して下さい。筋緊張低下は円滑な運動を妨げるために防がなければなりません。

αとγ運動ニューロンが同時に活動した場合

筋紡錘の中にも錐内筋という筋線維があります。γ運動ニューロンが活動すると錐内筋が収縮します。α運動ニューロンとγ運動ニューロンが同時に活動すると筋線維と錐内筋が同時に収縮します。筋収縮と筋紡錘の収縮の程度が同じくらいであれば、筋が伸ばされた時に筋紡錘が正常に活動することできるということです(図参照)。



まとめ

α運動ニューロンとγ運動ニューロンが共同して働くことで、伸張反射の働きが保てます。言い換えれば、最も単純な伸張反射が筋の円滑な活動に大きな役割を果たしているともいえます。

普段、意識することのないイベントですが、筋の働きを理解する上では大切な知識だと思っています。

それでは皆さまの学習がよりいっそう充実することを願って。

Charcot(@StudyCH)でした。All the best。

参考図書

生理学 (カラーイラストで学ぶ 集中講義)
標準生理学 第9版
カンデル神経科学

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