オーストラリアのある急性期病院が、転倒予防の取り組みを始めました。すると、転倒によるけがは、のべ入院日数1,000日あたり1.66件から0.61件に減りました[1]。この取り組みは、けがを減らしたと言えるでしょうか。同じ取り組みを24の病棟で確かめた試験では、差は見られませんでした[2]。
回復期リハビリテーション病棟で、4月から転倒予防の取り組みを始めました。離床センサーを増やし、トイレへの誘導の時間を決め、歩行補助具の置き場所をそろえました。1〜3月と4〜6月の転倒の報告を比べると、件数は減っています。病棟の会議では、学会で発表しようという声が上がりました。説明のための架空の場面です。この減り方は、取り組みの効果でしょうか。
この記事の要約(押すと開閉します)
- 定義:同じ人や集団で、介入の前と後の値を比べる研究デザイン。比べる相手の群を置かない「対照群のない前後比較」、介入しない群とも比べる「対照群のある前後比較」、前後に何回も測る「分割時系列」がある
- 生まれた経緯:1901年にThorndikeとWoodworthが、訓練の前と後のテストの差で訓練の影響を調べ、一部では訓練しない人も測った。1907年にCooverとAngellが、先行研究に対照の実験がないことを惜しみ、訓練しない人にも前と後のテストを行う対照の実験を並行して行った。1968年にはCampbellとRossやGlassが、くじで分けられない制度の変化を、時系列のデータと近くの州の数字で調べた
- 進め方:結果として見る値と測る時期を決め、介入の前と後に同じ方法で測って、差や比を求める。EPOCは、対照群のある前後比較では介入と対照をそれぞれ2施設以上、分割時系列では前と後にそれぞれ3点以上を求めている
- 利点:ふだんの記録を使えて手軽。同じ人の前後を比べれば、人による違いの多くを差し引ける。くじで分けて一部だけに行えない制度の変化も調べられる
- 欠点と限界:前後の2点だけでは、介入の前からの流れ、同じ時期のほかの変化、平均への回帰、測り方の変化と、介入の効果を見分けられない。Cochraneの部会EPOCの指針は、対照群のない前後比較を、レビューに含めないよう強く勧めている。原因を言うのは難しい、または不可能だとしている
- 補い方:介入しない群とも比べる、前後に何回も測る(表1の2つの形)。対照を置けないときも、介入の前に2回以上測る、変わらないはずの値も測る、結果を数える人に群を知らせない、客観的な指標を使う
- 使われる場面:すでに始まった制度や取り組みを、あとから評価するとき。効果を確かめる試験の前に、手がかりを得るとき。治療の効果を確かめる中心の方法は、ランダム化比較試験
- ほかの研究デザインとの違い:対照群のない前後比較には、同じ時期の比べる相手がない。比べる相手を置くと、結論が変わることがある。1つの病院で転倒によるけがが約3分の1に減った取り組みも、24病棟のランダム化比較試験では差が見られなかった
前後比較研究とは
前後比較研究は、同じ人や集団で、介入の前と後の値を比べる研究デザインです。英語ではbefore-after study(ビフォー・アフター・スタディ)といいます。治療の前と後の関節の動く範囲を比べるように、同じ人の値を比べることもあります。病棟の転倒の率のように、集団の値を比べることもあります。
前と後を比べる研究には、比べ方の違う主な形が3つあります(表1)。対照群は、介入をしない、比べる相手として置く群です。
| 形 | 比べ方 |
|---|---|
| 対照群のない | 介入をする群だけで、前と後を測って比べる。最も手軽だが、ほかの変化と介入の効果を見分けにくい |
| 対照群のある | 介入をする群と、しない群の両方で、前と後を測って比べる。同じ時期のほかの変化を、しない群の変化で差し引ける |
| 分割時系列 | 介入の前と後に何回も測り、介入の前の流れを延ばした線と、介入のあとの値を比べる。介入の前からの上がり下がりを見分けられる |
表1 前と後を比べる研究の主な形(文献3、4をもとに作成)
医療の効果を調べた研究を集め、まとめて評価する国際的な団体に、Cochrane(コクラン)があります。こうしたまとめを、レビューといいます。EPOCは、その中で医療の提供の仕方についてのレビューを作ってきた部会です。EPOCは、条件を満たした対照群のある前後比較と分割時系列を、レビューに含められるデザインとしています[3]。
前後比較研究が生まれるまで
いまの前後比較研究の形は、前と後の差を効果とみなす比べ方に、比べる相手の群を置く工夫と、何回も測る工夫が加わってできたものです[5]。図1に、主な出来事を年の順に示します。

図1 前後比較研究が生まれるまでの主な出来事。矢印の左はそのとき問題になったこと、右はそれに答えた方法。緑は、いまの前後比較研究の3つの形と、レビューに含める条件のもとになった段階
米国の心理学者Thorndike(ソーンダイク)とWoodworth(ウッドワース)は、訓練の効果がほかの働きにも及ぶかを調べました[6]。2人は1901年の論文で、ある働きの効率をテストし、別の働きを一定の上達まで訓練してから、最初の働きをもう一度テストする方法を用いました[6]。
2人は、ほかの要因がテストに影響しないようにすれば、前と後のテストの差が、訓練した働きの上達がテストした働きに及ぼす影響を表す、と書いています[6]。この比べ方は、訓練した人の前と後の差を効果とみなす点で、いまの対照群のない前後比較と同じ形です。2人は同じ年の続きの論文で、訓練をしない8人にもテストを2回行い、2回目のテストであることによる上達のおおよその目安にしています[7]。
米国の心理学者Coover(クーヴァー)とAngell(エンジェル)は、1907年の論文で、記憶の訓練を調べた先行研究を取り上げました。この研究も、同じ前後のテストの方法を用いていました。2人は、テストを受けること自体の練習の効果や、訓練の期間に起きる変化を確かめる「対照」の実験がなかったことを惜しんでいます[8]。
2人は、自分たちの2つの実験で、対照の実験を並行して行いました。訓練を受けない人にも、期間をあけて前と後のテストを行っています[8]。
カードの仕分けを訓練した人は、訓練のあとのテストで、タイプライターのキーを押す反応の効率が上がっていましたが、多くの人で誤りも増えていました。訓練を受けなかった人も、期間をあけたあとで効率が上がっていました。2人は、数の結果だけではあいまいだとして、誤りと本人の内省から訓練の影響を調べています[8]。
Dehue(デヒュー)は、心理学の歴史を調べたオランダの研究者です。Dehueによれば、Cooverは1900年代の初めに、実験群と対照群の比較を、方法として欠かせないと最初に主張しました[9]。
社会の制度の効果を調べる研究では、群をくじで分けられないことが問題になりました。1955年の米国コネチカット州では、交通事故による死亡の率が、1950年代で最も高くなりました。12月23日、Ribicoff(リビコフ)知事は、スピード違反で有罪になった運転者の免許を止めると発表します[10]。
州をくじで分けて、一部の州だけでこの制度を行うことはできません。調べる人が割り付けを決められないときは、くじで分ける実験の考え方を、そのまま当てはめられません[11]。1956年の交通事故の死者は、前の年より減っています[12]。前と後を比べれば、取り締まりの効果に見えます。
米国の社会科学者Campbell(キャンベル)とRoss(ロス)は、この取り締まりを、何回にもわたる記録である時系列のデータで検討しました[11]。同じ号に載った、米国コロラド大学の教育学の研究者Glass(グラス)の論文は、近くの4つの州の数字も加えて分析しています[10]。
統計の教材に、1951〜1959年の数字を収めたデータ集があります。その解説は、前後の年を含めた流れの中では、1955年から1956年の減少を取り締まりの効果と言うのは難しいとしています[12]。
Campbellは1976年の論文で、差し迫った問題を受けて始めた事業の効果は、回帰による見かけの変化と区別できなくなると、一般論として書いています。差し迫った問題の例には、社会の指標が急に悪くなったことを挙げています[5]。
回帰による見かけの変化は、極端な値のあとに、全体の流れに近い値が出やすいために生じます[5]。この現象は、平均への回帰と呼ばれます。平均への回帰は、英国の科学者Francis Galton(フランシス・ゴルトン)の遺伝の研究とともに、相関係数と回帰分析の違いの記事で説明しています。
表1の3つの形のうち、介入しない群も前と後に測る対照群のある前後比較は、CooverとAngellの対照の実験と同じ考え方です。前と後に何回も測る分割時系列は、CampbellとRossやGlassが、コネチカット州の取り締まりを時系列のデータで分析したのと同じ考え方です[8, 10, 11]。
医療の提供の仕方を調べる研究では、ランダム化比較試験がないことが多いため、EPOCは、2つの形も、条件を満たせばレビューに含められるとしています[3]。次の節で説明する進め方のうち、施設の数と測る回数の目安は、EPOCが2017年の指針で定めた、レビューに含めるための条件です[3]。
前後比較研究の進め方
前後比較研究では、結果として見る値と測る時期を決め、介入の前と後に同じ方法で測って、差や比を求めます。ランダム化比較試験のように、同じ時期に比べる相手を置くわけではありません。対照群のない前後比較では、時期の違う値どうしを比べることになります。
対照群のある前後比較と分割時系列には、比べる施設の数や測る回数の目安があります。EPOCは、対照群のある前後比較では、介入する施設と対照の施設を、それぞれ2つ以上置くことを求めています。分割時系列では、介入の時点がはっきりしていて、前と後にそれぞれ3点以上あることを求めています[3]。これはレビューに含めるための最低限で、必要な点の数は、ばらつきや効果の大きさ、季節の変動などで変わります[13]。
前後比較研究の利点
前後比較研究の利点は、手軽に始められることと、くじで分けられない制度の変化も調べられることです。前後比較研究は、ふだんの診療や業務の記録を使えるので、新しく群を作って割り当てる研究より手軽に始められます。同じ人の前後を比べれば、人による違いの多くを差し引いて比べられます。この考え方は、対応のあるt検定の記事で説明しています。
もう1つの利点は、くじで分けて一部だけに行うことのできない介入も調べられることです。国や地域の制度のように、集団全体を対象にした取り組みは、くじで分けて一部だけに行うことが、いつもできるとは限りません[13]。先に述べたコネチカット州の取り締まりも、その例です。
前後比較研究の欠点と限界
前と後の差には、介入の効果のほかにも、いろいろな変化が混ざります。研究法の教科書は、これらを、結論をゆがめる原因として整理しています。この教科書の著者には、先に述べたCampbellも加わっています。医療の研究向けにその分類を表にした論文をもとに、病棟の転倒予防に当てはめると、表2のようになります[14]。
| 混ざりうるもの | 病棟の転倒予防での例 |
|---|---|
| 同じ時期の | 4月に夜勤の体制が変わった。病棟の床やベッドを入れ替えた |
| 時間とともに | 4月に入った職員が仕事に慣れる。入院している患者さんの回復が進む |
| 平均への回帰 | 転倒が特に多かった時期の直後に始めると、何もしなくても次の時期は減りやすい |
| 測ることの | バランスの検査を毎月くり返すと、検査に慣れて点数が上がる |
| 測り方の変化 | 報告の用紙や基準が変わる。転倒に注目したことで、報告が増えたり減ったりする |
| 対象者の違い | 入院する患者さんの顔ぶれや重さが、前と後で変わった。転びやすい人が早く転院すると、残った人だけで比べることになる |
表2 前後の比較に混ざりうるものと、病棟の転倒予防での例(文献14をもとに作成。例は説明のための架空のもの)
値が特に高かった時期の直後に対策を始めると、何もしなくても次の時期は値が下がりやすくなります。たまたま極端な値が出たあとに、平均に近い値が出やすくなる現象を、平均への回帰といいます[14]。先に述べたコネチカット州の取り締まりも、死亡の率が1950年代で最も高かった年の直後に始まりました[10]。
前後の2点だけで比べると、効果を大きく見せることも、見逃すこともあります。介入の前から値が下がり続けていれば、効果がなくても、前と後では大きく下がって見えます。反対に、前から上がり続けていた値が介入で下がり始めても、前と後の値が同じなら、効果がないように見えます(図2)。米国の研究者らは、この2つの例を対の図で示しています[4]。

図2 前後の2点だけで比べると、効果を大きく見せることも見逃すこともある。緑の大きな点は前後の比較に使う2点。Bの右上へ延びる薄い灰色の破線は、介入がなかった場合の見込み。Aでは、介入に効果がないため、見込みの線は実際の線と重なる(文献4をもとに作成した模式図)
実際に、マスメディアを使った働きかけや、診療ガイドラインを広める取り組みを、何回も測って調べた研究があります。そのうち、解析の仕方が適切でなかった33本を、時間の流れを考えた方法で解析し直した研究があります。元の論文では、33本のすべてが「効果あり」とされていました。解析し直すと、33本の約半数で統計的に有意な差がなくなり、8本では介入の前から値が変わり続けていました[15]。
測られること自体で、人の行動が変わることもあります。ホーソン効果と呼ばれる現象です。19の研究をまとめたレビューは、12の研究で何らかの効果を認めました。それでも、ホーソン効果という単一の効果があるわけではないと結論しています。どんな条件でどれだけ起きるかは、よくわかっていません[16]。
認知症の人の試験では、評価の回数を増やした群のほうが、6か月後の認知機能の点数がよかったと報告されています[17]。前後比較では、こうした変化と介入の効果を見分けられません。
EPOCの指針は、対照群のない前後比較を、レビューに含めないよう強く勧めています。そうした研究から原因を言うのは、難しいか不可能だというのです[3]。米国の研究者らも、研究デザインを信頼できる順に並べ、対照群のない前後比較を、信頼できることがまれな弱いデザインに置いています[4]。
前と後の比較の弱点を補う主な方法は、介入しない群とも比べることと、介入の前と後に何回も測ることです。表1の対照群のある前後比較と分割時系列が、これに当たります。対照を置けないときも、介入の前に2回以上測る、介入で変わらないはずの値も一緒に測る、といった工夫ができます[14]。転倒を数える人に、どの病棟が取り組んだかを知らせないことや、客観的な指標を使うことも、測り方の偏りを減らします[18]。
前と後で対象者が入れ替わったり、介入と関係して抜けた人がいたりすると、見かけの効果が生じることがあります[14]。論文では、抜けた人の数と理由も確かめる点になります。研究の偏りの全体像は、研究結果に影響を与えるバイアスの記事で説明しています。
前後比較研究が使われる場面
前後比較研究は、すでに始まった制度や取り組みをあとから評価するときや、効果を確かめる試験の前に手がかりを得るときにも使われます[2, 13]。制度や取り組みによっては、すでに始まったものを、あとから評価するしかない場面もあります[13]。自然に起きた変化を使う研究は、計画した試験より偏りの影響を受けやすいことにも注意が要ります[19]。
効果を確かめる試験の前に、まず前後の記録で手がかりを得る使い方もあります。このあと紹介するオーストラリアの転倒予防の取り組みも、1つの病院の記録のあと、24病棟の試験で調べ直されました[1, 2]。治療の効果を確かめる中心の方法は、ランダム化比較試験です。同じ人に2つの治療を順に行って比べるクロスオーバー試験もあります。
前後比較研究とほかの研究デザインの違い
対照群のない前後比較は、同じ時期の比べる相手がない点で、対照群のある前後比較やランダム化比較試験と異なります。比べる相手を置くと、前と後の比較とは異なる結論が出ることがあります。
比べる相手を置いて確かめた例に、米国ニューヨーク州の薬の規制があります。ベンゾジアゼピン系の薬は、睡眠薬や抗不安薬として使われます。1989年、この薬を処方するたびに3枚つづりの用紙を使い、1枚を州の保健局に送る決まりができました[4]。
高齢の女性では、この薬の使用が60.3%減りました。けれども、規制のない隣のニュージャージー州と比べると、薬の使用が減っても、大腿骨の付け根の骨折は減っていませんでした[20]。
転倒予防でも、前後の比較で見えた減少が、比べる相手を置いた試験では確かめられなかった例があります。2009年、オーストラリアの急性期病院から、転倒によるけがが減ったという報告が出ました。この病院の取り組みは、6-PACK(シックスパック)と呼ばれます。転倒の危険が高い患者さんに、「転倒注意」の表示や低いベッド、離床センサーなど、6つの対策から必要なものを選んで行います[2]。
この報告は、1つの病院の9年間、271,095人の患者さんの記録を振り返ったもので、比べる病棟は置いていません。1つの病院では、取り組みのあと、転倒によるけがが約3分の1に減っていました。一方、転倒の率ははっきりとは変わらず、著者らは、転倒の報告がより漏れなく行われるようになったためかもしれないと考えました[1]。
研究者らは、こうした観察研究は効果の見込みを示すものと考えました。確かな大きさと、ほかの病院でも通じるかを知るには、大きなランダム化比較試験が必要だというのです[2]。そこで、同じ取り組みを、6つの病院の24の急性期病棟で確かめました。病棟を偶然に任せて2つに分け、半分の病棟だけで取り組みを始める、クラスターランダム化比較試験です。割り付けを知らない2人目の評価者も、すべての転倒を分類しました[2]。
12か月で46,245件の入院がありました。取り組みの道具や手順は、取り組んだ病棟で約3倍多く使われていました。転倒によるけがは、のべ入院日数1,000日あたり、取り組んだ病棟で2.33件、取り組まなかった病棟で2.53件でした(図3)。
率の比は、取り組んだ病棟の率が、取り組まなかった病棟の率の何倍かを表し、1なら差がないことを表します。この試験では、病棟の種類や病棟ごとの違いを考えて計算しています。転倒の率の比は1.04、転倒によるけがの率の比は0.96で、取り組んだ病棟と取り組まなかった病棟に差は見られませんでした[2]。

図3 6-PACKの1つの病院での前後の比較と、24病棟のランダム化比較試験。2つの研究は、対象の病院の数、時期、率の求め方が違うため、左右の棒の高さは比べられない(文献1、2をもとに作成)
なぜ1つの病院の結果が再現されなかったのかは、この論文も言い切っていません。その病院だけの事情や、同じ時期のほかの変化、報告の仕方の変化などが考えられます。ただ、比べる病棟を置かずに前と後を比べた結果を、取り組まない病棟と比べて確かめると、差が見えなかったことは確かです。
回復期の病棟の1〜3月と4〜6月の比較だけでは、効果かどうかはわかりません。取り組む前の1年分を月ごとに並べ、取り組んでいない病棟の数とも比べると、確かめやすくなります。
まとめ
前後比較研究は、同じ集団で介入の前と後の値を比べる、手軽な研究デザインです。ふだんの記録を使え、くじで分けられない制度の変化や、すでに始まった取り組みも調べられます。けれども、前と後の差には、介入の前からの流れや、同じ時期のほかの変化、平均への回帰、測り方の変化が混ざることがあります。
比べる相手の群は、1900年代の初めの心理学の訓練の実験で、テストを受けること自体の影響や期間中の変化を確かめるために置かれました。前と後に何回も測る分析は、1960年代に、くじで分けられない制度の効果を調べるために用いられました。コネチカット州の取り締まりの翌年の減少も、前後数年の流れの中では、取り締まりの効果とは言い切れませんでした。
1つの病院で転倒によるけがが約3分の1に減った取り組みも、24病棟で比べる相手を置くと、差は見られませんでした。比べる相手を置き、前後に何回も測れば、病棟の取り組みが転倒を減らしたかを、2点の比較より確かな形で調べられます。
さらに学びたい人へ:おすすめの本
- 中室牧子、津川友介『「原因と結果」の経済学』(ダイヤモンド社):データから原因と結果の関係を見分ける考え方を、数式を使わずに解説した読み物です。第4章で、前後の比較が使えない理由と、それを改良した差の差分析を説明しています(2017年刊行、208ページ)。Kindle版もあります。
- 伊藤公一朗『データ分析の力』(光文社新書):ランダム化比較試験から、境界線の前後や複数の期間のデータを使う分析まで、因果関係に迫る方法を数式を使わずに解説した新書です(2017年刊行、284ページ)。Kindle版もあります。
参考文献
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