統計解析に用いるアプリケーションソフトについて

使いやすいものが一番.

 研究を進めていくと,必ず統計解析を行わなくてはなりません。統計解析は統計アプリケーションソフトを使って,PC上で行うことが一般的です。そこで今回は統計に使うアプリケーションソフトをいくつか (使用が現実的,実用的なものを中心に) 紹介します。

SPSS 

 SPSSにはSAS (ライセンス料金が高いので今回は割愛します) 同様に歴史があり,信頼できる汎用統計パッケージです。日本国内の統計解析アプリではもっとも使われているものの一つだと思います。過去にはSPSS社が同名の製品として販売していましたが,2009年にIBM社に買収されてからは,IBMの製品として販売されています。

 販売元がIBM社になってからは,Windows版とMac版で別々に販売するのをやめたようで,両OS対応の一つのパッケージとして販売しているようです(現在はSPSS Statistics 22 が販売中) .残念ながらAmosはMac非対応です。

 通常はメニューUIを操作して解析しますが,コマンド式でも使えます。気になるお値段は,官公庁/医療機関で1ユーザーで189,000円 (税込),教育機関だと少し安く99,750円 (税込) となります。個人で買える代物ではないので,SPSSを使いたい場合は,お勤めになっている施設に購入を検討してもらいましょう。

 おすすめの書籍はこの二点です。


Prism

 Graphpad Prismは,薬学研究者であったMotulsky博士が開発したため,医学や生物学における統計解析に特化した統計アプリケーションです。生存率解析などの医学研究に有用な統計解析がそろっています。Graphpad社から直接,あるいは日本の代理店である(有)エムデーエフから購入できます。

 Mac版とWindows版がありますが,日本語版はWindowsのみとなります。Mac版で日本語ヘルプを使う場合は,アドオンの購入が必要なようです。Windows版では,英語版を購入後,日本語アドオンを購入することもできるようです。価格は92,610円 (アカデミック版は74,088円) ,日本語版は割高で,139,860円(アカデミック版は107,163円) となります。現在は,Prism 6が最新のパッケージとなります。

 残念ながら,日本語の書籍はそんなに多くはありません。比較的,新しいものはこちらになります。


R

 Rは,統計計算とグラフィックスのための言語・環境です.統計解析用のアプリケーションとも言えますが,GUIを駆使して操作するものではなく(つまり,ボタンやタグをクリックして使うのではなく),コマンドラインにコードを打ち込むことで解析を行います。S言語に似ているので,そのコードの多くはRでも流用できます。

 Rはフリーウェアですので誰でも使用可能です。Unix,Windows,Mac OS X上で動きます。基本的には英語版ですが,日本語化プロジェクトも進められているようです。また,書籍が多く出版されているので,初心者でも手を出しやすくなっています (それでも言語環境が苦手な人はやめておいた方が良いでしょう)。

 Rに挑戦したい方はこの書籍からでしょうか。


Excelを用いた統計

 Excelを駆使することで (自分で計算式を書くことで) ,統計解析を行うことができます。しかし,Excelで統計解析を行った研究は信頼できないとみなされて論文を受理してもらえないこともあります。Excelのマクロ機能を使って,Excel上で統計解析をおこなうアドインソフトと呼ばれるものがあります。Excelのアドイン統計ソフトにはフリーウェアをふくめたくさんのものがあるようです (製品板ではエクセル統計2012などがありるようです)。初学者の導入に良いためか,Excel統計のための書籍も数多く出版されています。

 Excelで統計解析することがないのですが,こちらの書籍が人気のようです。


コメント

 ちなみに私は,主にMacでSPSSを使っています。Rの方が汎用性が高そうで,なにより無料なので,そのうちRに移行しようかなと思っています。ご自分の環境にあわせた統計アプリを選択することをお勧めします。