解剖学では,解剖学的姿勢 (anatomical position) を基本にして,さまざまな記述をおこないます。解剖学的姿勢とは,直立し,顔面,足指を前に向け,両上肢を体側に下垂し,手掌を前方に向けた姿勢です。ここでは解剖学的姿勢を基準として,身体の面,方向,位置を示す解剖学用語を学びましょう。
身体の面を示す用語
正中面 median plane
人体をちょうど左右に等分に分ける面。
矢状面 sagittal plane
正中面と平行する面。
冠状面 coronal plane
人体を前後に分ける面。前額面や前頭面とも呼ばれる。
水平面 horizontal plane
人体を上下に分ける面。横断面とも呼ばれる。
身体や器官を切断したと仮定して説明がなされるときは,矢状断面,冠状断面などと,断面という用語を用います。
他にも,以下のように定義された面があります。
幽門横断平面
恥骨結合の上縁と胸骨の頸切痕とを結ぶ垂直線の中央を通る。あるいは,第1腰椎の高さを通る。
肋骨下平面
肋骨下縁の最下位を通る。
稜上平面
左右の腸骨稜の最上部を通る。あるいは,第4腰椎の棘突起の高さを通る。ヤコビー線とも呼ばれる。
結節間平面
腸骨稜結節の高さを通る。あるいは,第5腰椎の高さを通る。
棘間平面
左右の上前腸骨棘の高さを通る。
胸骨線
胸骨の外側縁を通る。
肩甲線
肩甲骨の下角を通る。