屈曲反射と交差性伸筋反射の特徴と役割


Charcot(@StudyCH)です。

屈曲反射や交差性伸筋反射は、危険な刺激から身を守るための基本的な反射です。この記事では、これらの反射がどのような経路で、どんな役割をもつのか説明します。

屈曲反射とは

屈曲反射とは侵害(痛み)刺激が皮膚などに伝わると、同側の四肢の屈筋を収縮させる反射です。逃避反射と呼ばれることもあります。

3つのニューロンを経由する反射(他シナプス反射)で、感覚受容器(自由神経終末)から生じた情報が、求心性の感覚ニューロン(Aδ感覚ニューロン)から脊髄の興奮性介在ニューロンを経由して、遠心性の運動ニューロン(α運動ニューロン)へ伝わり、同側の屈筋を収縮させます。

屈曲反射に関わる受容器と神経細胞

屈曲反射には受容器として自由神経終末、神経伝導路としてAδ感覚ニューロンと脊髄興奮性介在ニューロンおよびα運動ニューロンが関わります。それぞれの特徴について以下にまとめます。

自由神経終末

刺激を受容するための特別な構造を持たない神経線維の末端です。髄鞘はありません。侵害刺激、触刺激、温冷刺激などの刺激に反応します。皮膚では主に表皮に分布しています。

脊髄介在ニューロン

脊髄内の神経細胞で、その次に繋がるニューロンを抑制するもの(抑制性介在ニューロン)や興奮させるもの(興奮性介在ニューロン)があります。脊髄の介在ニューロンによって運動ニューロンや感覚ニューロンの活動が調節されています。

Aδ感覚ニューロン

直径1~5μm、伝導速度5~30m/secの無髄神経線維を持つ神経細胞です。主に自由神経終末につながっており、痛みの情報を脊髄へ伝える役割を持ちます。

α運動ニューロン

直径12~20μm、伝導速度70~120m/secの有髄神経線維を持つ神経細胞です。脊髄前角に密集して分布しており、他方からの情報を筋へ伝える役割を持ちます。

屈曲反射に伴う交差性伸筋反射

屈曲反射と同時に対側の伸筋を収縮させる反射が起こります。

自由神経終末からの情報は脊髄で2つの興奮性の介在ニューロンを介して、対側の伸筋に向かうα運動ニューロンを興奮させます。

屈曲反射よりも1つ多い、4つのニューロンを経由する反射です。脊髄内を交差して対側のα運動ニューロンに影響をあたえるため、「交差性」伸筋反射と呼ばれています。

つまり、侵害刺激が与えられた時に、その同側では屈筋が、その対側では伸筋が活動するということです。

拮抗筋の抑制

同側屈筋と対側伸筋が活動する一方でそれぞれの拮抗筋は抑制されます。屈曲反射と交差性伸筋反射に加えて、侵害刺激はさらに2つの反射を引き起こします。

屈曲反射による同側の屈筋の活動を助けるために伸筋の抑制が起こります。同様に交差性伸筋反射によって対側の伸筋の活動を助けるために屈筋の抑制が起こります。

つまり侵害刺激は4つの反射を起こします(下図参照)。いずれの反射も脊髄で介在ニューロンを介してα運動ニューロンの抑制を引き起こします。同側経路では1つ、対側経路では2つの介在ニューロンを介します。


屈曲反射、交差性伸筋反射の役割

拮抗筋抑制も含むこれらの反射は、侵害刺激からの逃避と、その際のバランス保持の役割があると言われています。つまり、屈曲反射で危険から四肢を遠ざけて、そのさい対側の伸筋を活動させることによって姿勢を保持して転んでしまうのを防ぐということです。

屈曲反射の逃避はこれのみでも充分役割を果たせそうですが、交差性伸筋反射のみで完全に姿勢を調整しているわけではありません。交差性伸筋反射は姿勢保持を円滑に行うために補助的に作用しています。

まとめ

人は脳からの指令だけで動いているわけではなく、数ある反射によって運動を円滑に行っています。屈曲反射や交差性伸筋反射は、侵害刺激からの逃避を担う動物には欠かせない反射です。

痛みの刺激がどういった反応を引き起こすのか、「痛み」を対象とするセラピストは自分のアプローチと神経学的反応とを複合的に考える必要があります。神経生理学の基礎をしっかりと学んで診療に挑むことが大切ですね。

それでは皆さまの学習がよりいっそう充実することを願って。

Charcot(@StudyCH)でした。All the best。