級内相関係数(ICC):0.9なら信頼できる測定なのか

級内相関係数(ICC):0.9なら信頼できる測定なのか

17人の息の強さ、つまり思い切り吐いたときの最大の速さを、大型の測定器と小型の測定器で測りました。2つの測定値の相関係数は0.94でした。それでも、BlandとAltmanは1986年、この2つの測定値の一致の程度は臨床では受け入れられないと判断しています(BlandとAltman 1986)。小型の測定器の値が、大型の測定器の値と1分あたり80リットル近く食い違うこともありうる、という結果だったからです。

2人の理学療法士が、同じ患者さんの膝の曲がる角度を測ったとしましょう。論文に「検者間の信頼性はICC=0.90」と書かれていれば、2人の測った値は入れ替えて使えると考えてよいのでしょうか。0.90という数字だけからは、答えは出ません。

級内相関係数(ICC)の要点

  • 信頼性:同じ人をくり返し測ったときに同じ結果が得られる程度。COSMINの定義では、測定値の全体のばらつきのうち、患者さんどうしの本当の違いによる部分の割合
  • 相関係数の限界:相関係数は2つの測定の関係の強さを表し、一致を表さない。一方がいつも10°大きく測っても、相関係数は1になりうる
  • ICCのもと:1925年にFisherが、兄と弟を区別せずに求める兄弟の相関を、級内相関として分散分析と結びつけて説明した。ICCは、値の散らばりの大きさを表す分散のうち、人の違いによる部分が全体に占める割合として計算する
  • ICCの型:評価者の扱いと、1人の評価か平均かで、ShroutとFleissは6つの型を区別した。McGrawとWongは10の型に整理したとされる。ShroutとFleissの例題データでは、型によって0.17から0.91まで変わった
  • 集団のばらつき:測定の誤差が同じでも、ばらつきの大きい集団で測るほどICCは高くなる
  • 個人の変化:一人の患者さんの変化を判断するには、ICCより、測定値と同じ単位で表す測定の標準誤差(SEM)と、本当に変わったといえる最小の差である最小可検変化量を見る
  • ICCの使い方:測定を何に使うかを決め、目的に合った型かを確かめ、真の値がありそうな範囲を示す95%信頼区間の下限で判定する。集団を比べるなら0.70以上、一人の患者さんを判断するなら0.90以上が一つの目安。最後にSEMと最小可検変化量に直し、臨床で意味のある変化と比べる

相関係数0.94でも、2つの測定器の値は一致していなかった

BlandとAltmanが比べたのは、息を思い切り吐いたときの最大の速さ、つまり最大呼気流量を測る2種類の測定器です。対象は、Blandの同僚や家族の17人で、値が広い範囲にわたるように選ばれていました。このデータは方法を示すために集めたもので、2つの測定器を比べた証拠にはならない、と2人は断っています。一人ひとりを大型と小型の測定器で測り、2つの値を比べます。相関係数は0.94で、偶然では説明しにくいという意味で統計的にも有意でした(p<0.001)。

2人は、相関係数で一致を判断するのは誤りだと指摘しました。相関係数は2つの測定値の関係の強さを表し、一致の程度は表しません。2つの測定が完全に一致するなら、点はすべて、2つの値が等しいことを表す線の上に並びます。ところが相関係数は、点がどんな直線の上に並んでも1になります。ほかに誤差がなければ、片方の測定器がいつも10リットル/分大きく測っても、2倍に測っても、相関は完全なままです(図1)。さらに、相関係数は対象者の値の範囲が広いほど大きくなります。値の広い人を選んだこの研究で相関係数が高かったのは、そのためでもあります。

2人の検者が同じ20人の関節の角度を測った架空のデータの散布図。点は直線上にきれいに並び相関係数は0.99だが、検者Bはいつも約8°大きく測っていて、一致の線から外れている

図1 相関が高くても一致しない例(模式図)。2人の検者が同じ20人の関節の角度を測った架空のデータで、検者Bはいつも約8°大きく測っている。点は直線の上にきれいに並ぶので相関係数は0.99になるが、2人が同じ値を出したことを表す一致の線からは外れている(BlandとAltman 1986の説明をもとに作成)

そこで2人は、一致を直接調べる方法を示しました。一人ひとりについて2つの測定値の差をとり、差の平均と、差の散らばりの大きさを表す標準偏差を求めます。大型の値から小型の値を引いた差は、17人の平均が−2.1リットル/分、標準偏差が38.8リットル/分でした。差がおよそ正規分布、つまり平均を中心に左右対称の釣り鐘の形の分布に従うなら、95%の人の差は、平均から標準偏差の2倍を引いた値と足した値の間、つまり−79.7〜+75.5リットル/分に収まります。差の平均から標準偏差の2倍を引いた値と足した値の範囲を、2人は一致の限界と呼びました。そして、この幅は臨床では受け入れられないと判断しました。この方法は、いまではBland–Altman法と呼ばれています。

ICCは、順番のない組の似かたを表す相関から始まった

では、同じものをくり返し測ったときの一致を、一つの数で表すにはどうすればよいでしょうか。その道具になったのが、級内相関係数(intraclass correlation coefficient、ICC)です。考え方のもととしてよく挙げられるのが、統計学者のFisherが1925年に著した『研究者のための統計的方法(Statistical Methods for Research Workers)』です(Fisher 1925)。

Fisherが例にしたのは、兄弟の測定値の相関です。兄と弟に分けて、兄の値と弟の値の相関を求めれば、ふつうの相関係数になります。Fisherはこれを級間相関と呼びました。けれども、どちらが兄の値かわからない場合や、兄と弟を区別する意味がない場合もあります。そこでFisherは、兄弟を同じ一つの組として扱い、すべての兄弟に共通の平均と標準偏差を使って相関を求めました。これが級内相関です。さらにFisherは、級内相関を、ばらつきを原因ごとに分けて調べる分散分析の例として位置づけています。分散は、値が平均からどれだけ散らばっているかを表す量です。ICCは、測定値の分散のうち、人と人の違いによる部分の割合として計算できます。

式で表すと、ICCは「人の違いによる分散」を「人の違いによる分散+誤差による分散」で割った値です(Liljequistら 2019)。相関係数と違い、ICCは、同じ人をくり返し測ったときの違いを誤差として扱います。同じ人を何度測っても同じ値が出るなら、誤差による分散は0で、ICCは1になります。誤差による分散が人の違いによる分散と同じ大きさなら、ICCは0.5です。COSMINは、健康に関する測定、とくに患者さんが自分で答える質問票の性質について、用語と定義の国際的な合意をまとめたものです。COSMINも、信頼性を「測定値の全体の分散のうち、患者さんどうしの本当の違いによる割合」と定義しています(Mokkinkら 2010)。1966年には、Bartkoが、評価の信頼性をこの考え方で分散分析から求める方法を論じました。そのうえで、評価者による違いを分散から除くかどうかで、式を区別する必要があると指摘しています(Bartko 1966)。

同じ例題データでも、ICCは型によって0.17から0.91まで変わった

評価者による違いをどう扱うかを整理したのが、ShroutとFleiss(1979)です。n人の対象をk人の評価者が評価する研究について、2人は6つの型のICCを区別し、選び方の手引きを示しました。型は、評価者の扱いと、1人の評価か複数の評価の平均かで決まります。評価者の扱いで3つに分かれ、それぞれに、1人の評価で判断するか、複数の評価の平均で判断するかの2つがあります(表1)。

型評価者の扱い例題の値(1人/4人の平均)
ICC(1)対象ごとに、別の評価者が評価する0.17/0.44
ICC(2)無作為に選んだ評価者が全員を評価する。評価者の平均の違いも誤差に含める。絶対一致にあたる0.29/0.62
ICC(3)決まった評価者が全員を評価する。評価者の平均の違いは誤差に含めない。一致性にあたる0.71/0.91

表1 ShroutとFleissの6つの型。それぞれに、1人の評価で判断する場合(ICC(1,1)など)と、k人の評価の平均で判断する場合(ICC(1,k)など)がある。例題の値は、psychパッケージに収められた、6人の対象を4人の評価者が評価したデータから、この記事で計算したもの(Liljequistら 2019、Revelle 2024をもとに作成)

型の違いは、値を大きく変えます。統計ソフトRのpsychパッケージには、ShroutとFleissの例題として、6人の対象を4人の評価者が評価したデータが収められています(Revelle 2024)。4人の評価者の平均は7.67、2.50、4.33、6.67と、評価者によって大きく違っていました。このデータからICCを計算すると、1人の評価ではICC(1,1)が0.17、ICC(2,1)が0.29、ICC(3,1)が0.71になります。4人の平均では、それぞれ0.44、0.62、0.91です(図2)。ICC(3)が高いのは、評価者の平均の違いを誤差に含めないからです。評価者の平均に違いがあるとき、それを誤差に含めるかどうかでICCは大きく変わります。

同じ例題データから求めた6つの型のICC。1人の評価ではICC(1)が0.17、ICC(2)が0.29、ICC(3)が0.71、4人の評価の平均ではそれぞれ0.44、0.62、0.91

図2 同じデータから求めた6つの型のICC。ShroutとFleiss(1979)の例題として統計ソフトRのpsychパッケージに収められた、6人の対象を4人の評価者が評価したデータから、この記事で計算した値(Revelle 2024)

McGrawとWong(1996)は、さらに区別を進めて10の型を示したとされます(Revelle 2024)。とくに大切なのが、一致性(consistency)と絶対一致(absolute agreement)の区別です(Liljequistら 2019)。ある評価者は8段階の1〜5を、別の評価者は4〜8をつけることが多いとしましょう。2人がつけた順位がそろっていれば一致性は高くなりえますが、値そのものは合っていないので、絶対一致は低くなります(Hallgren 2012)。2人の理学療法士が測った角度を入れ替えて使いたいなら、必要なのは絶対一致のほうです。

型を書くことは、早くから求められてきました。理学療法の学術誌には、1986年にすでに「ICCの型を明記せよ」という題の投書が載っています(Krebs 1986)。それでも、1992〜2010年の整形外科の論文92本を調べた研究では、63%がICCのモデルを書いていませんでした。モデル、一致性か絶対一致か、1回の測定か平均か、のすべてを書いていたのは5%でした(Leeら 2012)。

誤差が同じでも、ばらつきの大きい集団で測るとICCは高くなる

ICCには、もう一つ注意する性質があります。ICCは人の違いによる分散の割合なので、測る集団のばらつきに左右されます。測定の誤差が同じでも、ばらつきの大きい集団で測るほどICCは高くなります(図3、Leeら 2012)。de Vetら(2006)は、信頼性の指標は対象者の集団の均質さに強く左右され、誤差の大きさにもとづく一致の指標のほうが、測定器そのものの性質に近いと述べています。

誤差の大きさが同じ2つの集団の散布図。人の違いが大きい集団ではICCが0.94、人の違いが小さい集団では0.50になる

図3 集団のばらつきとICC(模式図)。どちらの集団も、2回の測定の誤差の大きさは同じで、標準偏差にして5°。人の違いの標準偏差が20°の集団ではICCが0.94、5°の集団では0.50になる。点は計算機で作った架空の25人分で、点から計算したICCもこの値になるものを選んだ

実際の測定でも、ICCの高さと誤差の大きさが食い違うことがあります。脳性麻痺の患者さん30人の下肢の角度を、3人の整形外科医が角度計で測った研究があります。太ももの裏の筋の硬さをみる膝窩角は、股関節が伸びきらない程度をみるほかの2つの検査より、検者間の差の大きさの平均が大きかったのに、ICCは高くなりました(Leeら 2012)。著者らは、ICCが高いことは、同じ人をくり返し測ったときのぶれが小さいことを必ずしも意味しないと注意しています。そして、ICCには測定値の範囲を添えて示すよう勧めています。最大呼気流量の研究で相関が高かったのも、値の広い人を選んでいたことが一因でした。BlandとAltmanの表に載っている17人の1回目の値から、この記事でICC(2,1)を計算すると約0.95と高くなりますが、一致の限界は−79.7〜+75.5リットル/分のままです。

一人の変化を判断するには、SEMと最小可検変化量を見る

臨床で知りたいのは、多くの場合、目の前の患者さんの値が本当に変わったかどうかです。de Vetら(2006)も、人を区別したいなら信頼性の指標が適しているが、健康状態の変化を測りたいなら一致の指標がよい、としています。そのための指標が、測定値と同じ単位で誤差の大きさを表す測定の標準誤差(SEM)です。SEMは、測定値の標準偏差とICCから、SEM=標準偏差×√(1−ICC)という式で求められます(FurlanとSterr 2018)。SEMのように誤差の大きさで表す指標は、ICCより対象者の集団のばらつきに左右されにくく、測定器そのものの性質に近いとされます(de Vetら 2006)。

SEMから、本当に変わったといえる最小の差である最小可検変化量(minimal detectable change、MDC)が求まります(Weir 2005)。2回の測定を比べ、95%の確かさで判断するときによく使われる式は、MDC=SEM×1.96×√2です(FurlanとSterr 2018)。仮の数字で計算してみます。膝の屈曲角度の標準偏差が15°の集団でICCが0.90なら、SEMは15×√0.10で約4.7°、MDCは4.7×1.96×√2で約13°になります。2回の測定の差がMDCを超えれば、95%の確かさで、測定の誤差ではない変化と判断できます。この例では、差が13°に満たなければ、測定の誤差と区別できません。ICCの値がどれだけの角度の変化を見分けられることにあたるかは、SEMにして初めてわかります。

ICCが高くても、2つの測定の間に一定方向のずれ、つまり系統誤差が隠れていることがあります。健康な10人の下腿の前面の筋の断面積を、超音波で2日にわたって測った研究では、日をまたいだICCは0.92でした。それでも、2日の差の平均について、真の値がありそうな範囲を示す95%信頼区間は−1.88〜−0.08 cm²でした。0を含まないので、2日目の値が大きく出る傾向があったことになります(RankinとStokes 1998)。2人は、ICCとBland–Altman法のどちらか一方だけでは情報が足りず、両方を使うよう勧めています。

ICCは、目的を決め、信頼区間の下限で判定する

では、ICCは実際にどう使えばよいのでしょうか。最初に決めるのは、測定を何に使うかです。研究で集団どうしを比べるのか、目の前の一人の患者さんを判断するのかで、必要な信頼性の高さが違います。COSMINは、患者さんが答える質問票の信頼性について、ICCが0.70以上なら「十分」としています(Prinsenら 2018)。BlandとAltman(1997)は、信頼性の指標の一つで、質問票の項目どうしの関連の強さを表すCronbachのαについて述べています。集団を比べるなら0.7〜0.8で満足できるが、一人ひとりへの臨床応用には最低でも0.90、望ましくは0.95が必要だ、というものです。αについてのこの考え方をICCにもあてはめると、集団を比べるなら0.70以上、一人の患者さんを判断するなら0.90以上が、一つの目安になります。ただし、ICCがどれだけあれば十分かは、測定を何に使うかによって考えるべきだとされています(Liljequistら 2019)。

次に、論文のICCが目的に合った型かを確かめます。KooとLi(2016)は、ICCには10の型があり、それぞれ前提と解釈が違うと述べています。そのため論文には、使ったソフトウェアと、型を決める3つの選択、2人の言葉でいうmodel、type、definitionを書くべきだとしています。検者が替わっても値を入れ替えて使いたいなら、評価者の平均の違いも誤差に含める絶対一致の型が合います。臨床で1回しか測らないなら、平均ではなく1人の評価の型を見ます。

そのうえで、ICCの値を信頼区間で読みます。KooとLiは、ICCがどの程度の信頼性にあたるかは、95%信頼区間をもとに判断するよう勧めています。目安は、0.5未満が低い、0.5〜0.75が中程度、0.75〜0.9がよい、0.9を超えれば非常によい信頼性です。95%信頼区間は、真のICCがありそうな範囲を表します。区間が複数の区分にまたがるときは、そのどれもありうると読みます。この記事では、慎重に判断するために、信頼区間の下限が入る区分を、その測定の信頼性とみなします(表3)。たとえば、下腿の筋の断面積を別の検者どうしで測った研究では、ICCは0.92でしたが、95%信頼区間は0.72〜0.98でした(RankinとStokes 1998)。対象が10人と少なかったため区間が広く、下限は中程度にあたるので、「非常によい」とは言い切れません。

ICC(95%信頼区間)区間が含む区分慎重な読み方
0.95(0.91〜0.97)仮の例非常によい非常によい
0.80(0.62〜0.89)仮の例中程度〜よい中程度
0.92(0.72〜0.98)筋の断面積の検者間中程度〜非常によい中程度。10人と少なく、区間が広い

表3 信頼区間を使ったICCの読み方の例。区分はKooとLi(2016)の目安による。3つめは下腿の筋の断面積を別の検者どうしが超音波で測った研究の値(RankinとStokes 1998)。慎重な読み方は、区間の下限が入る区分をこの記事でとったもの

目安そのものも、著者によって違います。よく引用されるCicchetti(1994)の目安では、0.75以上が「非常によい」です(Hallgren 2012)。値だけを区分に当てはめると、同じICC 0.80でも、KooとLiの目安では「よい」、Cicchettiの目安では「非常によい」になります(表2)。論文が「非常によい」と書いていても、どの目安によるものかを確かめます。

区分Cicchetti(1994)KooとLi(2016)
低い(poor)0.40未満0.5未満
中程度(fair、moderate)0.40〜0.590.5〜0.75
よい(good)0.60〜0.740.75〜0.9
非常によい(excellent)0.75〜1.000.9を超える

表2 ICCの目安の例。KooとLiは、95%信頼区間をもとに判断するとしている。Cicchettiの目安はHallgrenの引用による(Hallgren 2012、KooとLi 2016をもとに作成)

最後に、ICCを測定値と同じ単位に直し、臨床で意味のある変化と比べます。COSMINは、最小可検変化量や一致の限界が、患者さんにとって意味のある最小の変化より小さければ、測定誤差は「十分」としています(Prinsenら 2018)。膝の屈曲角度を43人の患者さんで測った研究では、同じ検者が角度計でくり返し測ったICCは0.99、別の検者どうしでは0.90でした。角度計を使わず、別の検者どうしが目で見て見積もった場合は0.83でした(Watkinsら 1991)。仮に、この集団の屈曲角度の標準偏差を15°として計算してみます。同じ検者の場合、MDCは約4°です。別の検者どうしでは約13°、目で見て見積もった場合は約17°になります。標準偏差を15°と仮定すると、同じ検者が角度計で測り直した場合は、4°ほどを超える変化を誤差と区別できます。担当が替わると、13°に満たない変化は誤差と区別できません。Watkinsらも、くり返し測るときは角度計を使うよう勧めています。経過を追う測定をできるだけ同じ人が行う理由も、この計算から説明できます。

論文でICCを見たら、次の4つを確かめます。

  • ICCの型、つまり評価者の扱い、1人の評価か平均か、一致性か絶対一致かが書かれていて、目的に合っているか
  • 95%信頼区間が示されているか、その下限が目的に必要な水準を超えているか
  • 対象者の値の範囲は、臨床で測る人と同じくらいか
  • SEMや最小可検変化量、一致の限界など、測定値と同じ単位の誤差が示されていて、臨床で意味のある変化より小さいか

まとめ

信頼性は、同じ人をくり返し測ったときに同じ結果が得られる程度です。相関係数は2つの測定の関係の強さを表すだけで、一致を表しません。相関係数が0.94でも、一致の限界が臨床では受け入れられないほど広いことがあります。ICCは、Fisherが兄弟の相関の例で説明した級内相関をもとにしていて、人の違いによる分散が全体の分散に占める割合を表します。評価者の扱いなどで型が分かれ、ShroutとFleissの例題データでは型によって0.17から0.91まで変わりました。測定の誤差が同じでも、ICCは集団のばらつきが大きいほど高くなるので、一人の患者さんの変化を判断するには、SEMや最小可検変化量、一致の限界を見ます。ICCを使うときは、測定を何に使うかを決め、目的に合った型かを確かめ、95%信頼区間の下限で判定し、SEMや最小可検変化量に直して臨床で意味のある変化と比べます。ICCは、型と信頼区間とSEMを合わせて読めば、その測定を何に使えるかを判断する材料になります。

BlandとAltmanは、相関係数が高ければ一致しているという読み方に対して、一人ひとりの差を見ることを勧めました。2つの値の関係ではなく差そのものを見ると、相関係数0.94からは見えなかった、80リットル/分近い食い違いがわかりました。ICCも、型を選び、信頼区間とSEMを添えてはじめて、目の前の患者さんの値がどれだけ確かかを判断する材料になります。

さらに学びたい人へ:おすすめの本

  • de Vet HCW, Terwee CB, Mokkink LB, Knol DL『Measurement in Medicine: A Practical Guide』(Cambridge University Press):医学で使う測定の道具や尺度の開発と評価を、理論の裏づけとともに実践的に解説した英語の教科書です。信頼性や妥当性などの測定の性質を評価する方法を、実際のデータを使った例題で学べます。著者の4人は、この記事で引用したCOSMINの定義の論文の共著者でもあります(2011年刊行、347ページ)。
  • W.S. Browner ほか 著、木原雅子・木原正博 監訳『医学的研究のデザイン 第5版』(メディカル・サイエンス・インターナショナル):臨床研究の設計を解説した米国の教科書『Designing Clinical Research』第5版の翻訳です。臨床研究の基本から、質の高い研究をデザインし実施する方法までを扱っています(2024年刊行、564ページ)。

参考文献

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