下肢の関節可動域測定(評価)


 下肢の可動域測定について参考角度や基本軸・移動軸について振り返りましょう。記事の最後に配布用PDFを用意しましたので,必要な方はご自由にダウンロードして下さい。

目次

  1. 股関節の可動域測定
  2. 膝関節の関節可動域測定
  3. 足関節の関節可動域測定 
  4. 母趾の可動域測定
  5. 足趾の関節可動域測定
  6. コメント

股関節の関節可動域測定


運動方向
参考角度
基本軸
移動軸
注意点
屈曲
125°
体幹と平行な線 大腿骨(大転子と大腿骨外顆 の中心を結ぶ線) 骨盤と脊柱を固定する.
屈曲は背臥位,膝屈曲位.
伸展は腹臥位,膝伸展位.
伸展
15°
外転
45°
両側の上前腸骨棘を結ぶ線への垂直線 大腿中央線(上前腸骨棘と膝 蓋骨中心を結ぶ線) 背臥位で骨盤を固定.
下肢は外旋させない.
内転の場合は,反対側の下肢を屈曲挙上してその下を通して内転させる.
内転
20°
外旋
45°
膝蓋骨より下ろした垂直線 下腿中央線(膝蓋骨中心と足 関節内外果中央を結ぶ線)  背臥位で股関節と膝関節を90°屈曲位にして行う.
骨盤の代償を少なくする.
内旋
45°


膝関節の関節可動域測定

運動方向
参考角度
基本軸
移動軸
注意点
屈曲
130°
大腿骨 腓骨(腓骨頭と外果を結ぶ線) 股関節屈曲位で屈曲させる.
伸展


足関節の関節可動域測定

運動方向
参考角度
基本軸
移動軸
注意点
屈曲
(底屈)
45°
腓骨への垂直線 第5中足骨 膝関節屈曲位.
伸展
(背屈)
20°
外がえし
20°
下腿軸への垂直線 足底面 膝関節屈曲位.
内がえし
30°
外転
10°
第1,第2中足骨の間の中央線 第1,第2中足骨の間の中央線 足底で足の外縁または内縁で行うこともある.
内転
20°


母趾の関節可動域測定

運動方向
参考角度
基本軸
移動軸
注意点
屈曲(MTP)
35°
第1中足骨 第1基節骨

伸展(MTP)
60°
屈曲(IP)
60°
第1基節骨 第1末節骨

伸展(IP)


足趾の関節可動域測定

運動方向
参考角度
基本軸
移動軸
注意点
屈曲(MTP)
35°
第2~5中足骨 第2~5基節骨

伸展(MTP)
40°
屈曲(PIP)
35°
第2~5基節骨 第2~5中節骨

伸展(PIP)
屈曲(DIP)
50°
第2~5中節骨 第2~5末節骨

伸展(DIP)


コメント

 上肢と同様に参考角度は一般的な平均値なので,例え障害なくとも全ての患者さんに当てはまらないことに注意です。下肢の関節可動域は(自分と比べて)体格の大きな患者さんである場合,一人での計測が難しいこともあります。信頼性(正確性)が重要な局面であれば複数人で計測することをお勧めします。関節可動域は基本の基本です。しっかりと復習をしておきましょう。

配布用PDF:関節可動域測定(下肢)

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